低炭素まちづくりと大規模移動制限とアマゾン大火災

昨日の日経朝刊に、「大規模移動制限 10年継続必要」との見出しの興味深い記事が掲載されました(12版経済面p5)。新型コロナ対応の「大規模移動制限」の脱CO2効果を定量的に示すはじめての記事。2つの研究報告がほぼ同じ結果(年間7%減、同8%減)で、この数値は2030年を目標年次とするパリ協定の内容を達成しようとすると年間7.6%の削減が必要との数字と同水準であることを根拠としています。4月の特定の日のアクティビティーの削減割合を前年度と比較すると、住宅部門こそ在宅勤務等で2.8%の増ですが、産業が19%減、海陸交通が36%、航空が60%の減です。世界規模での社会実験の測定結果ともいえるこの数字は、あまりにリアルな記憶や困難も伴うだけに慎重に扱う必要がありますが、既に梅雨に入り、大規模化する水害や台風被害にも関連する重要課題ととらえ、ここではざっくりその意味を定量的に考えます。

 

「世界で毎年7.6%の削減する量が26億トン」を逆算すると年間CO2排出総量は約340億トン。「住宅部門2.8%増、産業19%減、海陸交通36%減、航空60%減」の制約下です。記事では定性的にとりあげられているリモートワークの定着を、都市構造なども考えて定量的に推計するなどで都市ビジョンも描けそうです。1つ1つが「人類の生き方」そのものを問われているようなものです。できるだけ生活の質を高めながらソフトランディングできる方向を探りたいものですが、テクノロジーによる正の効果やワーク/ライフバランスのほか、大都市からの人口分散効果なども見たいところです。かなり余談ですが、アマゾン大火災の際、7か月で3.92億トンのCO2が排出されたとの数字があり、年間換算で6億トン。オーストラリアやカリフォルニアでも頻発しているので、すぐに「年間26億トン」くらいになってしまいます。

 

これから改定作業に入る都内某区の『低炭素まちづくり計画』では、年間400万トン(世界の約1万分の1)の排出がありトレンドで増加する約60万トン/年のうち3分の1の約20万トンをまちづくり部門で削減するとの目標です。環境性能の高い大規模ビルへの誘導から「緑のカーテン」まで幅広く、駐車場の集約や新たなモビリティの導入も組み込まれています。定量化困難なものも含まれてはいるものの、こうして定量化することで日々の取り組みが世界につながり、今回の新型コロナをきっかけとした「実感に根差した」シミュレーションなども加えれば、計画としてもレベルアップができそうです。

 

さて、6月20日の本日、43日ぶりに県境を越えます。ごくごくざっくりこの間の自分のCO2削減割合を出すとすると、「住宅部門33%増、産業10%減、海陸交通99%減、航空100%減」くらいでしょうか?! ゴーヤーも花が咲いていますが、「緑のカーテン」とまではなりそうもありません、、、