昼夜間人口比と新型コロナ

外へと向かう「新近郊」の動向に興味が引かれる一方、新型コロナ下で都心部に住居を移す動きも旺盛と言われ、アフターコロナに向けて「都市構造」や各場所での「土地・建物利用構成」が大きく変化しそうな予感がします。

少し歴史をさかのぼり、東京都心がどのように変化してきたかを「昼夜間人口比」を指標にたどります。港区を例に、やや断片的に書き出すと、、

 

         昼間人口   夜間人口   昼/夜比 

1940   396552     336312    1.179

1955   380542     251884    1.510

1965   536379     235333    2.279

1975   674821     209492    3.221

少しあけて

1995   849786     144233    5.892

2005   908940     185732    4.894

2015   940785     243283    3.867

その後、2020年の夜間人口 約26万人。

 

以上より重要そうな点をあげると、

第一。1995年には昼になると6倍の人口になっていたものが、2015年には3倍代となり、バランスが回復しつつある。これは、夜間人口の回復要因が大である。ポストコロナの都心部を考えるには、さらに文化機能やグリーンインフラなども含めて考えると、従来とはかなり異なるビジョンが描けそう。「住居」そのものの形態(住戸構成や集合形式等)変化も含めて。

第二。昼夜間比3倍代というのは1975年頃に近づいている感じ。このあとバブルとなりオフィスビルがたくさん建って地価が高騰し夜間人口が激減したが、かなり戻してきた。

第三。戦前の都心は昼夜間比がほぼ1で、住んで働く場所だった。どれくらいが適度かという評価はできないが、1か3.5くらいか6かでは、街の様子が大きく違う。

第四。コロナ下でさらに(長距離通勤を避けて)都心に人が住むようになると、昼夜間比がぐっと3に近づき2倍代に入ってくる可能性もある。

第五。「新近郊」は逆に、これまで大幅に1を割っていた地域が1に近づき、小さなエリアで見れば1を超えてくるような多様な場所がある新たな地帯なのかもしれない。

第六。これまで「稼ぐ」ことは比を高くすることに頼ってきたが、テレワークやDXなどの進展で異なった形の稼ぎ方や生活が可能にな(りう)るし、多様なビジョンをもつことが大切。

 

 

 本記事を「ポスト・コロナ社会の新ビジョン」に追加しました。

https://tkmzoo.hatenadiary.org/entry/2020/05/05/121753