「一人市場」解説 (都市は進化する10)

春の嵐で冬も吹き飛び、新年度に向けた準備もボチボチはじめたところです。

さて、1つ前の「一人市場」の写真の中に、「都市は進化する」的ストーリーがたくさん入っているので解説します。

 

第一。よくぞ見つけた「この場所」。そして車とお店の配置。

「一人市場」がなければただの駐車場ですが、歴史と自然と人工物(車と市場)の配置にハッとさせられました。「ここ」だけのオンリーワンの「場所」。駐車場の車の出入りおよび通りの人の流れを考えて「この場所」にしたのでしょう。(もちろん地主さんの了解は得ているものと思われます。)

第二。市場のデザイン。「デザイン」と書くには少々ためらいもありますが、その手作り感と美しさが高度に(??)バランスしたその雰囲気がいいです。特にワゴン車の中の棚が「一人市場」の主要な要素の1つとなっていて、これだけでも共感できます。

第三。道際の台の上の大根。よく見ると3種類並んでいて、左から(ずんぐりした)聖護院大根、2つ目は聞いたのに忘れてしまいました! そして3つめが三浦大根。そうです。この方は、三浦野菜を中心にこうして「一人市場」を開いていたのでした。本ブログの昨年秋冬の「都市探訪」にたびたび出てきた三浦野菜がこのような形でも流通しているのかと驚きました。京野菜の聖護院大根もきわめて廉価です。

第四。ここで終わってしまったら「ただの野菜売りでしょ」と思われてしまいそうですが、そうではありません。隣のザルに盛られていたのは、三浦産パスタです。地元で製造販売しているものだそうで、名刺もいただきました。もちろんパスタも購入。ちなみに、ザルと大根の間に置かれているのは夏ミカンで、生産物なのかなんとなく樹に実っていたのかはわかりませんが、パスタに合わせて購入。(結構パスタに合います。)

パスタに話を戻すと、これは「六次産業(化)」の好例ではないかと。そのような目でながめてみると、このザルには地元産クッキーも。

第五。この「一人市場」ですが、立て看板を見ると、スケジュールが貼ってあります。市内の別のもう1か所とセットで1日が構成されていて、たいてい毎日「市場」をやっています。

 

よくある都市近郊の「直売所」といえなくもないですが、上記したいくつかの面でこれはかなり進化した形ではないか、などと思い解説してみました。この通りはいつ歩いても発見があります。通りだけではなく、街のあちこちに発見があります。それが「一人市場」でさらに広域に連携して、新しいエネルギーが湧きだしてきている気がします。