『秦氏とカモ氏 平安京以前の京都』

4月12日に斎王代も発表され、4年ぶりに葵祭(賀茂祭)が開催されます。

平安京が計画される前から続くこの祭や、その元となったカモ氏について。あるいは同じく平安京が計画される前から太秦(うずまさ)に住みついていた秦氏が、どのように平安京を受け入れたのか、平安京とかかわったのかについて書かれた本が『秦氏とカモ氏』(臨川選書。1994.11.25刊。著者は中村修也)です。

1つ前の記事「平安京の都市計画はどの程度まで「完成」していたか?」が長文になってしまったので、今回は要点だけにとどめます。

第一。秦氏やカモ氏(ら)のこの地に対する蓄積や新都建設へのかかわり(の有無や程度)が、新都の誕生やその後の京都の発展を考えるうえで重要な要素である。

第二。この本の「はじめに」の前頁に書かれている「古代山背国(やましろのくに)概略図」がシンプルではあるが本書の内容を一目で理解できるよくできた図。秦氏とカモ氏と平安京が空間的にうまく住み分けている感じに書かれている。葵祭がなぜ重要な祭なのかも直感的に理解できる。

第三。その図に書かれている長岡京へのかかわりの話もサブストーリーとしておもしろい。

 

平安京をつくる側(都市計画を進める側)のストーリーを理解するのと同時に、それを受け入れる側のストーリーを理解することの重要さとおもしろさを味わえる図書です。

葵祭は5月15日。5月1日からさまざまな関連儀式などが行われます。



【In evolution】日本の都市と都市計画
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