The Thames Traditional Boat Festival

テムズ川を遡上します。

今年もつい先日(6/27~7/2)開催された「ヘンリーロイヤルレガッタ」。

テムズ川沿いには、イギリス文化を代表する数々のイベントやその「聖地」などがあり、また、イベントがなくても日常的に独特な都市文化・都市生活が展開し、「テムズ川協会」のようなNPO団体なども多数あります。
本日の話題は「ヘンリーロイヤルレガッタ」ではなく、そのあとに(ほぼ)同じ場所で開催される「The Thames Traditional Boat Festival」です。第44回となる今年は7月14日から16日に開催されました。
(訪れたのは20年ほど前ですが)この大会も驚きの内容でした。その驚きの内容を短く書いたあと、現在も続くこのイベントの意味について書き留めます。

 

「アンティークを大切にする国」というとき、家具や食器などが思い浮かびますが、この大会はアンティークなボートを楽しむ(その一環としてその文化を競い合う)ものでした。

(あえて具体的に書くと)テムズ川に多くのトラディショナルボートが集結し、スタートラインから一艘ずつ出発。衣装をめいめいに着飾った乗組員たちが、優雅に目の前を行ったり来たりします。ボートの形や大きさ、その表現はさまざまなので、河畔で参加者やその家族(大型犬なども)、観客等が拍手を送ります。会場は「フェスティバル」っぽく演出されていますが、ロンドンから数十キロほど離れているのでかなりゆとりもあり、のんびりと一日を過ごします。

さらに驚いたのは、トラディショナルボート関連商品の販売。「トラディショナルボート」そのものも展示されていますが、部品などもさまざまあり、ピカピカに磨かれた真鍮製のものなど百万円は下らないような品々も。言葉の矛盾ではありますが、「アンティークっぽいトラディショナルボート用の新品」??。私が見分けられなかっただけで、本当のアンティーク部品をていねいに再生して販売していたのかもしれません。

 

今、振り返ってみると、この大会の発端は、テムズ川沿いに見捨てられ朽ち果てたボートがたくさんあることに胸を痛めた人たちが発案し、それを受けて「テムズ川協会」が1978年よりこの地ではじめたとされます。わざわざ「ヘンリーロイヤルレガッタ」のあとに設定しているのは、知名度の高いレガッタの熱気が残っている時期に開催するメリットを考えた結果のようです。もちろん、「川遊びを楽しむのに適した季節」という大枠の範囲内で検討された結果と思われますが。
この「テムズ川協会」の目的・理念を引用すると、

「Members of The River Thames Society are dedicated to protecting and preserving the natural beauty of the River Thames」

とされます。かくいう私も数年間、メンバーになっていました。テムズ川は長いので各パートにローカル組織があり、それぞれの活動を行っています。最も印象的だったのは、傷ついた白鳥を捕獲・保護し、元気になるとまた川に戻すという活動で、会誌にはその保護区(保護場)での活動の様子がたびたび掲載されていました。白鳥はいつも白鳥で、アンティークもトラディショナルもないけれど、テムズ川とその文化を大切にしたいと思う気持ちは同じなのでしょう。

 

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