「English Devolution Bill」前夜

新政権がめざす地方分権の基礎になると考えられる「English Devolution Bill」がもうすぐ国会に上程されるのではないかと思われます。Power Up Britain (その2)では、

「計画によればさらにそれを進めて、どの地方自治体も周囲と相談・調整して「Combined Authority」をつくることを義務づけ、「Local Growth Plan」の策定により、地域が主体となって地域づくりを進めていく。」

ととらえました。

 

2023年に裁可を得た「レベルアップ及び再生法」はCombined Authority(CA)に加えてCombined County Authority(CCA)を制度化しています。CCAの設立条件がいくつもあり、とても複雑な状態になっていますが、基本的には、「都市」を超える広域行政を制度化して、特に地域経済の活性化をはかろうとするものととらえられます。

本日は新たな展開を図る法案が出てくる「前夜」の状態を確認します。

 

合同行政機関(その3)では、2018年頃のCAの状態を、「2016年にWest MidlandsにCombined Authorityが設立されたことで、サッチャー時代に廃止された大都市圏政府のエリアすべてがこのタイプの機関でカバーされ、2018年までに10機関となり現在に至っているようです」ととらえていました。

2024年8月末までに以下の3つの動きがありました。

・10機関のうちニューカッスル周辺の2つのCAが統合され1つのCAに。

・ヨーク市とその周辺地域であるノースヨークシャーが1つのCAを形成。

・ノッティンガム市を含むノッティンガムシャーと、ダービー市を含むダービーシャーが合同でCCAを設立。この例だけが2023年法に基づき創設されたCCAです。

 

図を掲載します。

イングランド中北部に多く、特に最近加わった上記3例はエリアも広く目立ちます。イメージとしては、こうした形をさらに進めてイングランド全体をCA(CCA含む)でカバーし、地域に根差した民主的な広域行政を通して地域活性化を図る、というのが新政権の理念ではないかと推察します。

 

⇒「【研究ノート】Power Up and Planning」に反映しました。
https://tkmzoo.hatenadiary.org/entry/2024/07/14/094331