審議がはじまった「Levelling-up and Regeneration Bill」ですが、その条文の約3分の1を占める「パート2 Local Democracy and Devolution」の主題は、Combined Authority (合同事業機関) をイングランドのどこにでも設立できるようにすることです。特にこれまでは設立できなかったCountyエリア(≒非大都市圏地域)に設置できるように、法案の第8条から第54条によって「CCA=Combined County Authority」の設置要件や組織構成、業務内容、「メイヤー」などと呼ばれる長の権限や選出方法などを規定しようとしています。第55条から第71条でこれまでのCombined Authorityの見直し方法などを規定しようとしています。しかし、法案をみると、大半の規定は「規則によって定める」との文言が入っており、法律では大枠のみ用意しておき、具体的内容はそれぞれの地域の事情や考えで決められる作りにしているようです。
では、Combined Authorityとはどういうものか。
実は、本ブログでは既に2度、2015年までの経緯を書いているのでそれらを関連記事とします。(⇒下記)
ウィキペディアによれば、2016年にWest MidlandsにCombined Authorityが設立されたことで、サッチャー時代に廃止された大都市圏政府のエリアすべてがこのタイプの機関でカバーされ、2018年までに10機関となり現在に至っているようです。
こう書くと何かいいことばかりのように見えるかもしれませんが、関連記事を見ていただくと、「設置要件や組織構成、業務内容、「メイヤー」などと呼ばれる長の権限や選出方法」の規定の仕方によって、どのような機関になるか大きく異なりそうなこと、中央政府の意向によっていかようにもデザインできそうなこと、国会ではそのあたりが審議されそうなことが想像されます。また、これまでの「Combined Authorityの効果の評価」がないと、こうした方法による意義がどれくらいあるのか判断できない面もあり、「法律では大枠のみ用意しておき、具体的内容はそれぞれの地域の事情や考えで決められる作り」となるとさらに理解も評価もすぐにはできそうもありません。
けれどもそう言ってしまわずに、プロセスを通して「イギリス都市計画定点観測」をしてみたいと思います。
[関連記事] Combined Authority
(その1) https://tkmzoo.hatenadiary.org/entry/20130724/1374656479
(その2) https://tkmzoo.hatenadiary.org/entry/20150127/1422332165