「ロンドン通勤者のオフィス回帰はとても遅れている」

本日の日経夕刊(3p)に、「ロンドン、出社「週2.7日」 主要6都市で最低水準」と見出しのついた小さな記事が出ています。
短い記事のためほぼ見出し通りの内容で、その原因は通勤費の高さとしています。ただ、在宅勤務の利点に通勤費用の節約をあげる労働者割合はロンドンが「40%以上」に対し、6都市平均は34%と書かれていて、あまり決定的要因のようには思えません。

そこで、引用元とされる「センター・フォー・シティーズ」の報告書をみることに(⇒資料)。

 

まず、通勤費用に関しては(レポート図15)、他の要因と比較して6都市平均値との開きが大きいことは確かです。ただし、その他の項目に、ロンドンでは出勤の義務付け方がゆるいことも分析されています。

せっかくなので、日経記事には出ていない、このレポートの結論を手短に整理します。

「オフィス回帰傾向はどの都市も頭打ちとなっている。しかしロンドン以外はミスマッチ要因の解消により元の状態に近づきそうだ。ロンドンだけはそうならなさそうで、純粋に経済活動面からみるとなんとかすべきではないか」(←超要約)。センターの役割上、そう結論づけざるをえなかったと思われますが、広い意味での都市計画的観点からは、異なる結論もあるかもしれません。日本のデータと比較するのもおもしろいかもしれませんね。

[資料] 2020年から継続的に調査され、多角的に分析されています。

https://www.centreforcities.org/wp-content/uploads/2024/09/Return-to-the-office-September-2024.pdf

 

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