「住みやすいはずの都市」から「住みやすい都市」へ

客観指標からは「住みやすいはずの都市」しかわからない限界は、EIUの「Liveability Survey」だけの限界ではなく、マーサー社による「生活の質(Quality of Living)調査」の限界でもあります。この調査は世界の221都市をカバーし、10部門39の指標により各都市の生活の質を比較するもので、ニューヨークを100とした場合の相対比較となっています。さらに限界をあげれば、この調査はそもそも政府や企業が事業等を世界展開する際の参考資料として開発されたものです。つまり、「駐在(や留学)する場合に住みやすいはずの都市」といった感じでしょうか。
実は、7月20日にご紹介した「Happiness and Quality of City Life」論文の独自性は、世界10都市の居住者それぞれ1000人に直接アンケート調査を行い居住者の主観を分析・比較した点にあります。