CITIES, DESIGN & EVOLUTION

2009年刊。Stephen Marshall著。都市は創造するもの(creationist)でも開発するもの(developmental)でもなく、進化するもの(evolutionary)ととらえる好著。青写真が描きづらくなった昨今の都市づくりに理論的・技術的根拠を与えてくれます。著者は進化(evolution)を適応的発生(adaptive emergence)と捉えています。
そういえば、『都市計画家 石川栄耀』(鹿島出版社、2009)にも晩年の石川が「『都市計画』は『計画者が都市に創意を加えるべきものではなくして』それは都市に内在する『自然』に従い、その『自然』が矛盾なく流れ得るよう、手を貸す仕事である」と教科書に書いていたことが記されています(p339)。「成す」から「成る」へ。
と考えていたところにTown Planning Reviewの最新号(2011.10月号(82(5)))が届き、その特集内容(Strategic spatial planning in uncertainty)もまさにこの点をさらに包括的に理論化しようとトライしたものでした。「成る」はbecomingと対応しています。東日本大震災からの復興計画の意味を考えるためにも、これからの日本の都市計画を考えるうえでも重要なテーマだと思います。