RESTORATION

今回は少し変わった切り口で。
これはTV番組であり、社会運動であり、図書にもなっている、イギリスBBCの制作による歴史的遺産保存のための一連の活動です。TV番組として2003、2004、2006年に組まれたあと、惜しまれながら幕を閉じました。下記URLはその記録の一部です(BBCのHPへ)。
http://www.bbc.co.uk/history/programmes/restoration/
この番組に出会ったのは2004年のこと。多くの建物が歴史的価値をもつというと素敵な感じですが、その維持費は膨大なもの。1級の建造物等はさておき、地域の人々に長年親しまれた貴重な建造物は手入れがなされず、その劣化が問題になっています。とはいえ、すべての建物をまんべんなく残すことも不可能。そこでこの番組では、各地で「なんとか残したい歴史的建造物」の予選会を行い、地域住民等によってその建物のどこが貴重でどのような資源として残したいかを競います。毎回の番組で地方ごとに優勝作品が決まり、それらを持ち寄った「決勝」が最終回という設定。2004年の最終回はロンドンのハンプトンコートパレスで盛大に催されました。優勝した建造物の保全費用は「宝くじ基金」から出される300万ポンドと、全国からの投票で自動的に産み出される基金(第1回の2003年は50万ポンド)。参加した地域の人々のみならず、投票した国民・視聴者等に広く訴えかける番組でした。