東日本大震災復興特別区域法案が国会に提出されました

28日、国会に「東日本大震災復興特別区域法案」が提出されました(下記URL。1番。衆議院先議[12/14追記:12月7日成立までの審議経過がすべて記録されています])
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/179/gian.htm
具体的内容は、解説等も含めて東日本大震災復興対策本部のHPに掲載されています。
http://www.reconstruction.go.jp/topics/000220.html
復興対策本部の資料は以下のような構成です。⑥が最も重要な法案そのもの。他は解説等です。
東日本大震災復興特別区域法案 概要
東日本大震災復興特別区域法案 骨子
③【参考資料】 土地利用再編に関する手続きの簡素化
④【参考資料】 特区制度を活用したプロジェクトイメージ
東日本大震災復興特別区域法案 要綱
東日本大震災復興特別区域法案 条文案
東日本大震災復興特別区域法案 理由
東日本大震災復興特別区域法案 新旧対照表
東日本大震災復興特別区域法案 参照条文集

今後、国会で審議されることになりますが、新聞報道がなされていないいくつか重要そうな点をあげてみます。なお、条例による「上書き」規定(法案36条関係)については最近、各新聞社も注目して記事をたくさん書いているので、たいへん重要なポイントですがここでは省略します。
1)「復興推進協議会(地域協議会)」(法案13条)の組織化と運営
本ブログの5/29の記事でとりあげた『復興公社論』の4頁目に整理したとおり、各自治体における復興の体制づくりがたいへん重要です。この13条は「できる」規定ではありますが、うまく活用すれば、復興事業の推進母体として『復興公社』的な役割を果たせるものと考えます。第一に、13条2項には明確に地方公共団体に加えて「復興推進事業を実施し、又は実施すると見込まれる者」が入っているほか、3項においてさまざまな主体の参画が可能となります。第二に、5項から9項の要請・申し出規定により、「できる」規定の限界をカバーしています。
2) 復興整備計画実施主体としての都市再生機構の役割
法案74条には、現在の都市再生機構の特別措置として、現在の機構法によらない特別の役割が書かれています(附則の第5条で機構法そのものを改正)。これは「できる」規定ですが、この規定の運用にあたっては、情報をしっかり公開した運用が必要だと考えます。上記『復興公社論』ではむしろ技術力の高い人材の活躍が重要と認識しており、新規採用も含めて長期におよぶ復興事業をしっかり支える体制づくりがなにより重要だと思います。
3) しっかりした情報集約システムと公開システム
「特区法案」づくりの過程はこれまで外には見えず、新聞社などがときどき「骨子固まる」などという記事を発表する形で五月雨的に行われてきました。ようやく法案そのものが公表されたわけですが、今後も、ややもするとこれまでの方法が続くのではと危惧します。条文をざっと見た限りでは、復興プロセスの情報集約・管理・公表の規定がありません。法案71条やそれ以降の条文で断片的にそうした規定がみられなくはないのですが、全体を貫くポリシーがありません。現場での書類づくりの業務が増えないようにしつつ、予算をしっかりつけ、システマティックに復興事業関連情報が集約・管理・閲覧できるようにすべきだと思います。

[11/30追記:本法案は11/29に衆議院で可決され参議院に送られました。衆議院における修正箇所は、下記URLの「閣法の一覧」の179-1「東日本大震災復興特別区域法案」の欄の最後の「本文及び修正案」にて。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm
衆議院の修正では上記論点の3)に関連して、地元自治体から国会に対して「復興特別意見書」を提出できることを規定し、提出された場合の国会の機能を書き込むなどの修正を行なっています。また、国と地方の協議会における協議の経過・内容を国会に報告するものとすると規定しました。なお、「復興特別意見書」の規定は、上記論点1)の地域協議会の機能を強化することにもつながります。さらに、衆議院の修正で入った新81条(地方公共団体への援助等)はこのままでは抽象的すぎるためさらなる現実的かつ前向きなブラッシュアップを期待します。]