RETROFITTING SUBURBIA (updated edition)

Ellen Dunham-Jones and June Williamson著、Wiley 2011刊。
副題は「Urban Design Solution for Redesigning Suburbs」。本題の「retrofit」の日本語を調べてみると「旧型式の機械を改装・改造して新型式にすること」。
「updated edition」とあるように、リーマンショック直後の2009年初頭に出版された図書の改訂版。これだけ短期間のうちに改定された理由として、1)市場が大きく変化し民による事例にかわって官による事例が増えてきたこと、2)そもそもこの種の事例が出版後にかなり増えてきたこと、3)サバービア(suburbia)をめぐる認識にも大きな変化が出てきたこと、の3つがあげられています。
第1章において包括的な議論をしたあと、第2章から12章を5つのカテゴリーに分け、1)街区内の住宅のリトロフィットや一部再開発、2)コリダーに沿って沿道一帯をつくりかえる、3)商業モールの再生、4)エッジシティーのインフィルによる再生、5)郊外型ビジネスパーク等のリトロフィットによる魅力増進、の順に事例をふんだんに交えながら最新動向を紹介しています。プランや写真等も豊富。
前回の記事と合わせ読むと、現代アメリカにおける郊外アーバニズムの動向が都市圏レベルから建築レベルまで体系的にとらえられます。また、これらはニューアーバニズムの実践編でもあり、具体技術や制度を含めてこれだけ多数の事例が紹介されている本書は貴重です。

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