Community Infrastructure Levyと近隣計画

近隣計画の実現手段として、最近「Community Infrastructure Levy」という税の話がよく出てきます。調べてみると、これは2008年法(Planning Act 2008)により創設された税で、地方自治体が都市計画マスタープラン(Local Plan等)で位置づけたインフラ施設を実現するために、民間開発に税を課すことができるとするものです。整備すべきマスタープラン上のインフラ施設を特定しておき、用途別に単位床当たり何ポンドという形で税を課すことが、定められた手続きを通過すればできるようになります。
ここまではCommunity Infrastructure Levyの一般則ですが、近隣はここからかかわります。開発が行われた近隣では、そこで徴収された税額のうち15%を地方自治体から回してもらうことができ自らの近隣に使うことができます(ただし上限があり、1世帯あたり100ポンドを超えることができません)。これだけでもウマミがありそうですが、近隣計画を立てていると25%を回してもらうことができるので、近隣計画を立てて開発そのものを規制誘導しつつ、税の25%分まで近隣で使えるようになるということから、最近話題になっているものです。これらを定めた規則は2013年4月に発効しています(下記URLへ)。
http://www.legislation.gov.uk/uksi/2013/982/pdfs/uksi_20130982_en.pdf
なお、1つだけ例外があり、広域マスタープランであるLondon Planをもつロンドンだけは回収した税を近隣に回す必要はなく、もっぱら戦略的なインフラ整備のために税を使うことができます。例えば145億ポンドもかかるとされるクロスレイル(西から来てパディントンの手前で地下に入り、ボンドストリートやトッテナムコートなどの繁華街を通ってリバプールストリートに達し、そのさらに東方で二股に分かれてさらに東へとつながりそれぞれ地上に出る)の財源のうち3億ポンド(2%強)をこのCommunity Infrastructure Levyにより賄おうとしています。
ロンドンの各区は一般の自治体と同様の規定が適用されます。例えば郊外区であるバーネット区では、2013年5月1日より、各開発1平米につき、住宅で135ポンド、小売りで135ポンドの税をとる運用が始まりました。その他は0ポンドです。

[参考]本ブログのイギリス最新都市計画「★統合ファイル