Neighbourhood Development Orderの具体例が出ました

近隣計画の規定でまだ事例がなかったNeighbourhood Development Orderの具体例が出ました。
これは、特定の近隣における特定の開発を許可なしで行うことができるよう、予め一定の手続きを経て定めておくもので、イングランド最北西部のコッカーマスという町(近隣)で4つのNeighbourhood Development Orderが同時に2013年12月23日まで協議にかけられています。
内容はそれぞれ、1)店舗やオフィスを許可無しでカフェやバー、レストランに用途変更でき、公道上に飲食用の机やイスを許可無しで置けるようにする、2)メインストリート等に沿った商業施設の上階に4戸までであれば許可無しで住戸をつくることができるようにする、3)メインストリート等に沿って伝統的な木材を使ったショップフロントをつくることを許可無しでできるようにする(事前にデザイン基準等を決めておく)、4)特定の街路沿いの窓やドアの設置を(事前に作成したデザインガイドに沿ったものであれば)許可無しでできるようにする、というものです。
[6/6追記:その後の経過が以下のURLでわかります。まだ採択されていない模様です。
http://www.allerdale.gov.uk/planning-and-buildings/planning/planning-policy/neighbourhood-planning.aspx
[6/18追記:6月中に実施が予定されていたレファレンダムですが、投票者の範囲をめぐって議論があり実施が延期されました。結果、7月17日に、修正案に対するレファレンダムが実施されることになりました。全国ではじめてのNeighbourhood Development Orderであるため、手続きや内容をめぐっていろいろな議論や判断がなされた(まだ「なされている」)興味深い事例です!]
[10/2追記:さきほど届いたPlanning2014.8.29号に、7/17のレファレンダムで「支持」が多数を占め公式のNDOになった(第1号)ことが紹介されていました。上記HP(6/6追記欄)はそれに置き換わっています。投票率19.3%(投票範囲の決め方のためか低いです)、賛成772、反対496。下記はITVによるニュース(動画)です。
http://www.itv.com/news/border/story/2014-07-18/first-of-its-kind-planning-order-in-cockermouth/]

これで、近隣計画の3種類の主体、近隣計画の3種類の内容がすべて出そろいました。
以下にまとめてリスト化しておきます。
■近隣計画の3種類の主体 1)と2)が基本形
 1)townまたはparish評議会(councils)によるもの⇒2013.1.14記事
 2)近隣フォーラムによるもの⇒2013.6.5記事
 3)ビジネス近隣フォーラムによるもの⇒2013.7.4記事
□近隣計画の3種類の内容 b)-2はb)-1の一部ともいえる
 a)neighbourhood development planを使う場合⇒2013.1.14記事
 b)-1 neighbourhood development orderを使う場合⇒本日の記事
 b)-2 community right to build orderを使う場合⇒2013.7.3記事

[参考]本ブログのイギリス最新都市計画「★統合ファイル