ACV(Asset of Community Value)の話(その2)

ACVに関連して、昨日届いたPlanning Theory & Practice誌(December2013)での興味深い話。
地域コミュニティの価値の観点から守るべきパブと、中心商店街にあるダンスホールなどの商業ベースの施設とをどう区別できるのか? との問いから筆者(p455-469)は人口25万人程度の都市をイングランド北部と南部から2つ選び、若者の飲酒行動を調査します。その結果、若者たちがパブを利用するのは友達と会っておしゃべりをしたり、ゲームを楽しんだりスポーツを仲間と観戦することが中心であり、飲酒の程度もほどほどであることから、ガンガン飲んで騒ぐような場所ではなくSocial Capital(社会関係資本)を醸成するような場所と評価できるというもの。
イギリスでは日本の用途地域とは違い「Use Class Order」という制度によって、同じUse Classの中での用途転用であれば許可不要とされるため、「パブ」や「ダンスホール」がそれぞれどこに入るかが不動産オーナーにとっては死活問題。例えば、ケンブリッジ大学のあるケンブリッジでは専門コンサルタントに依頼してその分類方法を検討中だと紹介されています。ACVの観点からみると、法律によって守るべき用途に迷惑施設が紛れ込んでいては市民の支持も得られないため、どの範囲までであればコミュニティで守るべき価値のある施設かを一定程度見極めておかないといけません。
ちなみにイギリス全体で1980年に69000件ほどあったパブは、2010年に51178件まで減少。「飲酒の程度もほどほどである」ことはパブの経営からみると微妙な関係でもあり、、、、などと論じるこの「パブ」という存在。日本でいうと、どんな課題なのでしょう?!

⇒ACV(Asset of Community Value)の話 (その1)

[参考]本ブログのイギリス最新都市計画「★統合ファイル