近隣フォーラムの民主的正統性

Planning Theory & Practice誌(December2013)ではもう1つ、短いながら重要な論説が紹介されていました(p562-566。Simin Davoudi and Paul Cowie著)。近隣計画策定主体である近隣フォーラムの民主的正統性についてです。
ここでは正統性の評価の観点を、1967年のPitkinの議論による4分類としています。
1)formalistic
2)symbolic
3)substantive
4)descriptive

著者の結論だけ以下に紹介します。
1)については、確かに近隣フォーラムのメンバーは選挙によって選ばれたわけではないけれども、この多元化した世界ではこうしたボトムアップの声も正当化される。しかし、2)については、近隣フォーラムが自ら設定した区域の住民らから本当に信頼されているかが問われる。3)については、まさに近隣計画の内容が適切と評価されているかが問われる(一応レファレンダムで過半の支持を得たことになっているが、投票率は必ずしも高くない現状を考える必要がある)。4)については2つの問題がある。1つは、近隣計画を策定したコミュニティの声を、マイノリティも含めてきちんと反映しているかどうかが問われる。もう1つは、全国的にみて近隣計画を策定した地域が裕福な地域に偏る傾向があることである。

[参考]本ブログのイギリス最新都市計画「★統合ファイル