近隣計画に関連するコール・インが発動されました(近隣計画をめぐる新トピック(2))

昨日のトピック(1)に比べると、こちらはかなり本格的な議論が必要なケースです。そしてまだ進行中の話題であるため、現在わかっている状況を書き留めます。Town and Country Planning誌8月号の記事がその時点までの経緯を綴っています。

セントラルミルトンキーンズ(CMK)ビジネス近隣計画は、ビジネス近隣計画の第1号として、2015年5月7日にレファレンダムを通過しました。住民投票とビジネス主体による投票の2つの投票を行わなければならないなど、相当大変な策定過程をたどって「やれやれ」と一息つこうとした矢先、近隣計画の内容を逸脱する(と策定した当事者たちが考える)開発計画が持ち上がりました。許可を与えてはならないと当局に働きかけたものの、当該自治体においてその計画が承認されてしまったことから注目されているものです。
「コール・イン」とは、大臣が、当該自治体の判断に待ったをかける制度で、これまでも主要な場面で使われてきました。近隣計画を制度化して適正な運用を期待する国の立場からみて、その初動期における問題の芽は大臣としても早く摘み取るべきと判断。けれども本当にその芽が問題なのかどうかを公正に判断する必要があります。「コール・イン」は2015年11月に発動されました。審査官が任命され、5日間の公開審問が2016年9月6日にスタートしました。争点は、商業施設等の11000㎡の増床による公共空間の変化が、近隣計画の内容に反するとして許可が覆されるのか、自治体の判断通りとするのか。実は、この5日間だけでは決着がつかず、再度公開審問が予定されました。それは2016年11月30日から12月2日の3日間です。さらに、それとは別に技術面の検討を行う2日間の「technical inquiry」が組まれる予定で、どうやら決着をみるのは2017年に入ってからになりそうです。

近隣計画の内容のどこがどう争点になっているのか。資料は限られているので、2015年9月3日の開発コントロール委員会で許可となった際の事務局案から、許可が適当とした理由を5点整理しておきます。
第一。確かにこの開発によりセミパブリックスペースは減少するものの、空間の質を著しく高める。(事務局の言葉で、「officers are of the opinion that..」と強い調子で書かれている。)
第二。計画されている新たな公共空間は、現在重要視されている小さなオープンスペースが無くなることによるロスを上回る効用があると考えられる。
第三。増築により(建物間の)道幅が20mから15mに減少するものの、公共交通に支障はなく、その「15m」も都市計画手法でしっかり担保できる。
第四。グレード2の登録建築物となっている空間の雰囲気に害を与えるとの指摘もあるが、プラスの面も踏まえれば、バランスからみて、空間の質を害するとはいえない。
第五。保存樹を切り倒すのは忍びないが、この開発はそれによる損失を緩和できるものである。

さて、この議論の行方は、、、