日本からさまざまな国に出かけていき、いろいろなことがわかってくる。ヨーロッパのこともアフリカのこともアメリカのことも。けれどもどうしても自分の中で埋められない場所がある。それは、「日本からさまざまな国に出かけていき」ではどうしても埋められない「大西洋」という場所。正確には、大西洋を取り巻く国々や諸都市間の交流や進化。
この夏、その「大西洋」について少し埋めてみようと、『図説・大西洋の歴史』という本を読み始めました。マーティン・W・サンドラ著(日暮雅通訳)、悠書館、2014刊。
11章構成の第1章「大西洋-暗黒の海」。この章だけでも発見はいろいろあるのですが、ヴァイキングが西暦1000年頃に北アメリカ大陸に到達していたことが、「大西洋の歴史」的には最大のポイントです。けれども、
「驚くべきは、ヴァイキングが実際にアメリカへ到達したという事実ではなく、彼らがそこへ到達し、しかもしばらく定住しながら、そこが新大陸であることを<発見>しなかった点である。」(1983年に著名な歴史学者が『大発見-世界と人類に関する探究の歴史』で記す)
というのが本書で語られている歴史。コロンブスが登場し、やがて新大陸が<発見>されるまでにこのあと500年もかかったとは!
このことだけでも、この暑い夏を夢中に過ごせそうな気のする、この本の導入部です。