都市イノベーション・next

『反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』

4月14日の日経朝刊「Opinion」欄。「技術革新は家でも起きる」との微妙なタイトルとなっているこのコラムの主旨は、最後のパラグラフ「災厄からは巨大産業が生まれることも多い。世界で始まった壮大なテレワーク革命に日本の企業社会も加わり、「家からの技…

隔年開講の「市街地創造論(大学院向け)」が5月12日に開講します

コロナウイルスの影響で、5月7日からと延期された本年度の春学期では、対面式の授業は行わずすべて遠隔授業となります。本授業も例外ではありません。 第1回が、ちょうど1か月後の5月12日(火曜)となります。 本ブログ的には、「都市イノベーション」「住みた…

「ブータンの国民総幸福度指標(GNH Indicators)の変遷に関する研究」(GNHと都市計画(その3))

まだ2019年度だった2週間ほど前のこと。ブータンのGNH政策について研究していたY氏が学位を取得して修了されました。標題の研究はその一部をしめるもので、いわゆる「幸福度」を測定するためにどのように指標の開発がなされてきたのかを分析したものです。 …

「SDGs時代の都市計画を考える~グローバルな視点から」:Make cities and human settlements inclusive, safe, resilient and sustainable

地震に洪水、津波にウイルスと、都市は次々に災害に見舞われています。都市計画の要となる都市計画法は日本では1968年に制定されたまま接ぎ木に接ぎ木を重ね、そこにおさまらないものは別の法律をつくって「都市計画関連法」が次々と増え、現在、国会に提出…

「Single-Family Zoningを廃止すべきである」との議論が真正面からはじまりました【米】

在宅勤務でたくさん時間ができ、本日は、今アメリカではじまっている都市計画上の重要な議論に注目します。 「Single-Family Zoningを廃止すべきである」。 本ブログでもこれまでニューアーバニズム関係の動向や、中産階級が没落し格差拡大が深刻な都市問題…

エール:「検証『2050 日本復活』」を2020年に検証する

今週スタートしたNHK朝ドラ「エール」。「あなたの音楽にどれだけ勇気づけられたことか」との長崎の方の言葉に主人公が励まされるシーンに、9月まで続くこのドラマのエッセンスが詰まっていました。(解説:主人公は、1964年オリンピック開会式用に作曲した音…

カオスに立ち向かうために : 『レジリエンス あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』再読

2020年3月31日朝。 やられっぱなしではなく、「撲滅してやる」のような一本調子でもなく、具体的かつ現実的な方法はないだろうか。過去にすがるだけでなく、未来志向で希望のもてる、自分たちの力を最大限活かせるような道筋。 昨日、遠隔ゼミや遠隔授業など…

羽田空港アクセス線と羽田空港第五滑走路

2020年3月31日をもって、京浜急行品川駅下にある「京浜ストア」および「品達(複数のラーメン店等がモールとなっている部分)」が閉店します。「品川フィールド(その3)」で6)番としている「京浜急行連続立体化事業(特に品川駅部分平面化事業)」がスタートする…

海のゲートウェイ : 新竹芝-新浜松町

2020年3月14日に開業した「高輪ゲートウェイ駅」が、駅そのものの見物でにぎわっています。かくいう私も、もう3度も行きました。「駅」というものの可能性を開拓する、何度でも行きたくなる「場所」「居場所」「空間」「視点場」「交流拠点」「作品」です。…

大気の質や公衆衛生の観点から不服申立てが却下されたはじめてのケース

『Planning』誌の2020年3月号に「CORONAVIRUS IS NOT THE ONLY DANGER IN THE AIR」と題する「Opinion」が掲載されています(p9)。 その内容と文脈を少し広めに紹介します。 2020年1月31日午後11時にEUを離脱したイギリスで今、たいへん意欲的と自認する環境…

「沈みゆく首都」

沈みゆく首都? BBCの再放送のこのタイトルを見たとき、ヴェネチア?(首都じゃないなぁ、、)、モルディブ?(ここは国ごと沈みゆく問題、、(⇒関連記事))、じゃあ、どこ? 番組がはじまり、写しだされたのはジャカルタでした。世界一沈下スピードが早い都市と…

『大災害の時代 未来の国難に備えて』

五百旗頭真著、毎日新聞出版、2016.6.30刊。 1995年の阪神・淡路大震災以降、日本列島は大震災の時代に入ったとの視点に立ち、「安定した認識の視座を得るには。三脚がほしい。少なくとも三つの主要なケースを視界に収め、全体的な認識を得る必要がある」(p9…

『氷川丸ものがたり』(建造⇒貨客船⇒病院船⇒引揚船⇒貨客船⇒引退)

「グローバル化が進むこの時代。日々の生活の隅々に世界がかかわっています。都市は直接そうしたグローバルな動きを反映し、また厳しい競争にもさらされています」という本ブログ案内(「Welcome page」)の通り、今回の事態で横浜は海外と接する「水際」とな…

平戸と都市イノベーション

「都市科学事典」の編集が進み、今週は担当している「都市はどのように進化してきたか」という項目の内容を一目で理解できる(との期待を込めた)図を作成し出版社に送りました。内容は出版されてから見ていただくとして、今回のテーマは「平戸と都市イノベー…

超音速旅客機(SST)で地球が縮まる

ちょうど10日前のこと。ニューヨークからロンドンに向かった飛行機が、暴風に乗って予定時間より2時間も早い4時間43分で着いてしまったとのニュースが流れました。おお、これくらいならしゅっちゅう往復してもいいね、と思って冷静に考えると、逆向きのルー…

「逆襲デトロイト 自動運転の都へ」

昨年7月10日の日経朝刊に大きく掲載された特集記事(標題はその記事のタイトル)。自動運転の開発に取り組むエムシティ(ミシガン大学内。約13ha)やアメリカン・センター・フォー・モビリティー(東京ドームが40個以上入る敷地。エムシティの近く)のみならず、デ…

モビリティ・アズ・ア・サードプレイス

今朝の日経朝刊に、モビリティ・アズ・ア・サードプレイスについての輪島市とヤマハ発動機による取り組み事例が紹介されています。「サードプレイス経済」の連載の最後の記事(4回)。そのまた一部の分量でしかありませんが、「モビリティ」と「サードプレイス…

人間と人工物と風景と

今朝の電車の中でふと目をあげると、日本海の「美食旅」のポスターが。 「ああ、越前ガニ食いたい」と普通ならそちらに関心が向くところが(実際にはそのポスターはもっと北の県の関係だった)、なぜか目は海岸のコンクリート構造物の方へ。「人工物」が目立つ…

スカーレット : 信楽の里を訪ねる

先日、彦根の小学校の遠足で行って以来「半世紀ぶり」に信楽の里を訪ねました。きっかけは現在放映中のNHK朝ドラ、スカーレット。「こういう町がこれからのフロントランナーの一つ」との予感(というか想い)から、いくつか発見したことを書きます。 第一。窯…

新大久保が大変貌

先日、(おそらく)10年以上ぶりに山手線新大久保駅に降りる機会があり出口に向かうと、何かのイベントにかち合ってしまったのか、大混雑で外にでるのが大変。用事は線路左側を北に向かう路地の先だったので、その路地にやっとの思いで入ると、ロンドンのマー…

『横浜開港場と内湾社会』

先週木曜の博士課程ゼミで、横浜山手を研究しているSさんが、「この本、S先生から紹介されました。出たばかりですヨ」と。 見ると「横浜開港場」とあり、すぐに注文。A社の流通網ですぐに届いたので読んでみるとなかなかおもしろい本です。T大学建築のI研究室…

都市探訪7 都市再掘

都市再掘・メキシコシティにテノチティトラン現る

『貧乏人の経済学』

A・V・バナジー&E・デュフロ著、山形浩生訳、みすず書房2012.4.2刊。 原文(英語)のタイトルは訳のとおり。副題は原文が「A Radical Rethinking of the Way to Fight Global Poverty」に対して訳は「もういちど貧困問題を根っこから考える」。 読んでみると、副…

劇場都市

今朝の日経朝刊に「TOKYO 劇場都市への課題<上>」という記事が掲載されました。 まだ<上>なので気が早いのですが、本ブログでも「文化・交流」面でロンドンに大きく引き離される東京について気にしたり(⇒関連記事1)、シェークスピアを生んだロンドンという都…

『未来への大分岐』

時代を切り開く論客マルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソンとの議論を通して、「資本主義の終わり」「民主主義の終わり」「人間の終焉」などのネガティブな議論に溢れる2010年代最後の年にキラリと輝く長期社会ビジョンを示した快作。198…

1964年東京オリンピック選手村となったワシントンハイツ・過去現在未来

最低視聴率を更新中のNHK大河ドラマ『いだてん』で先週、埼玉の朝霞に決定していた選手村を代々木へと覆す場面が描かれました。ドラマでの説明では、メインスタジアムと選手村は近くなくてはならず、それでこそ万国から来た選手たちが交流できるのだと。結局…

都市探訪4 渋谷絶景

渋谷絶景・東京の肺神宮内苑

2022年度スタート高校「地理総合(必修)」と都市計画

2022年度から高校で必修科目になる新科目「地理総合」の内容が、かなり都市計画の分野に近づいてくるということで、先日の都市計画学会全国大会(横浜)でワークショップが開催されました。 本日、そのときのプレゼンテーション資料が公開されました。 https:/…

「世界都市計画の日」

本日は「世界都市計画の日」。 ちょうどそれに合わせたように、横浜で都市計画学会全国大会がはじまります。 国レベル、都市レベル、地域レベルの3つのレベルから同時に(3日間)で都市計画の成果と課題、展望について議論されます。 ◆国レベル 「都市計画法を…

「都市の機能更新を考える」が掲載されました。

発行日が「11月15日」とされている『都市計画341号』が届きました。特集のテーマは「都市の機能更新のゆくえ」。 この特集の中で、「都市の機能更新を考える」という論説を書く機会をいただきました。後半半分の2ページで、「これからの都市の機能更新 2020…