2015年⇒2020年(国勢調査)と2020年⇒2021年(新型コロナ期)

昨日(11月30日)、2020年国勢調査の確定値が公表されました。

1つ不自然な結果があったので調べてみると、この5年間(2015年⇒2020年)で新たな大きな動きが出ているので、それを中心に少し書いてみます。また、2020年10月1日に実施された国勢調査の結果は「新型コロナ期」(ここではそう呼ぶ)に少し食い込んでいるとはいえむしろ「コロナ前」の5年間(2015年⇒2020年)の大きな動きととらえられると考え、タイトルを「2015年⇒2020年(国勢調査)と2020年⇒2021年(新型コロナ期)」としました。

 

「不自然な結果」とは、日本の総人口の5年ごとの変化が、増加から減少に転じるカーブが2015⇒2020にかけてとても不自然になっている点です。2010⇒2015に既に96万人減少していた数字が、2015⇒2020年も95万人の減と、「足踏み」状態。普通なら200万人くらいの減少になってもおかしくないトレンドなのに。

はじめこれは「年齢別人口構造の特性からくるものでは」と見てチェックしてみましたが、いろいろ見ているうちに、これは、「2015⇒2020年にかけての外国人人口の増加(の加速)による」とみるのがよさそうだとの結論に至りました。

2015年までも外国人人口はジリジリと増加していましたが、2015⇒2020年にはこれがグツと上がり(175万人から240万人に65万人増加)、この分を取り除くと日本人は160万人の減少、外国人人口が65万人増加したので結果として95万人の減少にとどまったという状態であることがわかりました。日本人人口だけをグラフにするとかなり滑らかな曲線となるので、「不自然」ではなくなります。

形が「不自然」に見えるほどの大きな変化を意図的に(政策的に)行った5年だったと考えると、「これからの人口減少にどう対処しようか。外国人の労働力に頼るべきか、ロボットなどの活用をもっと進めるべきではないか、、、」といった大きな課題に対する「結果」が既に数字に表われていることに驚きを感じます。具体的な県の名前は意味はありませんが「65」「95」に最も近い県の名前で表現すると、この5年間で「香川県(95万人)と島根県(67万人)」の2県が無くなるほどの人口減少だったところが、香川県分が無くなるだけでしのぎ島根県分は外国人で支えられることになった」といったような大きな変化です。

 

その他、各社が報道するように「東京圏一極集中」などの数字も確定値として読み取れます。2020年⇒2021年(新型コロナ期)には「東京圏」でみるとトントンとなる月もありやや落ち着いているようにも感じますが、引き続き「東京圏一極集中」になるのか地方分散へと転換するのかを、外国人人口による人口減緩和の動向とともにどのように考えるのか。そもそも「考え」られる余地はどれほどあるのか。全く違う切り口ですが、「15歳未満人口割合」の高い上位20市町村をみるのもよいかもしれません(「結果の概要」27頁)。20のうち12が沖縄県。九州にひろげると20のうち18。逆に、「65歳以上人口割合」の最も高いのは群馬県南牧村の65.2%。20番目に高いのが徳島県神山町(54.3%)です。神山町の取り組みをみると、「外国人労働者」という言葉よりも「神山町で表現したい外国人アーティスト」「東京の会社に所属しながらサテライトオフィス勤務の若手社員」などが町を盛り上げます。

 

[資料]

・2020年国勢調査確定値「結果の要約」「結果の概要」

https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka.html

・2020年国勢調査結果(データそのもの)は、上記URLの「e-Start」ボタンから。

 

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