「アフリカ新秩序の模索(NHK激動の世界をゆく)」で描かれたドローンの活躍について

昨晩(2021.12.5)のNHK「激動の世界をゆく」では、ケニアとガーナの新動向が紹介されましたが、なかでも、「支援」や「援助」に頼りすぎて本来めざすべき方向にならなかったとの苦い反省から、ITを活用してさまざまな産業やサービスを拡充し自立した国づくりをめざすガーナの事例に興味をもちました。特に、地域医療(とりわけ人材や地域医療拠点)が脆弱な現状をドローンを用いてカバーしようとシステム開発に取り組む姿は、ある意味、世界最先端のようにみえます。その概要を書くと、、

基地局に「〇〇のワクチンが緊急に必要」とのスマホでの連絡が入ると、そこに備蓄されているワクチンの小瓶の保管状態が維持できるよう梱包して、基地局の庭にドローンを1機セットしてその中に梱包したワクチンを入れる。ドローンには届け先や飛行ルートが伝わり、庭の加速器で「シュー~ッ」と加速したドローンはお届け先に向かいます。その間7.5分。時速100キロ出るので、お届け先まで50キロだとすると30分+7.5分で上空から梱包された箱を落下。技術はサンフランシスコのベンチャー企業「ジップライン」で、アフリカでの運用はルワンダに次ぎガーナが2番目。日本の豊田通商が出資。ジップラインはガーナ政府(保険省)から輸送費のみを得る。医薬品は、拠点にはストックしているだけで、受け取った医療関係者が支払う。ジェトロのHP資料によると、最初の基地局オメナコ(首都アクラから北に60キロ)には20機のドローンがあり24時間体制で運営。配送先は120カ所あり1日約45件を受注(2019年末時点)。順次500カ所まで拡大の予定。他に3基地局をつくり全国2000カ所の医療施設に配送できる体制を整えるとされます。

最後の疑問。では、配達を終えたドローンはどうやって回収するの??? 拠点はそんな広くないのに、、、

ある意味、これが一番驚きでした。ドローンのうしろには引っかかるための突起があり、それが庭に張られたひもに引っかかるとダラーッと垂れ下がって、はい、回収。

ハイテクとアナログと、政府のシステムと技術者と、ベンチャービジネスと日本企業と、地域医療を支える希少な人材とネットワークが高度にコラボレーションした、たいへん興味深い事例です。これだけでカバーできる地域医療は今のところそう大きくはないかもしれませんが、何事も1つの試みから。ドローンにはさらなる可能性が感じられます。ドローンというハードだけではできないことも、こうした地域連携によって、いろいろな分野が開拓できそうな予感がします。

 

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