電車の混雑率はどれくらい元に戻ったか?

今朝、電車に乗ろうと品川駅のホームで待っていると、逆向きの東京駅方面へと向かう電車があまり混雑していないことに気づきました(コロナ期間で何度も目撃していたが、今回、改めて「まだあまり混んでいないな」と気づいた)。昨日の記事で転居の結果である人口の「社会増減」を観察しましたが、そのこともあって、以下のような問いが浮かんできました。

「昨日は東京圏における郊外化の動きに着目したが、郊外居住者が転居しないでテレワークしているとすると、今目の前に見ている「まだあまり混んでいないな」ということが重要かもしれない。仮にでよいので定量的に考えてみよう」、と。

かなりおおざっぱですが、自分の記憶によるコロナ前の朝のラッシュアワーの混雑に比べて3割くらいは減っていると感じました。

国土交通省の発表資料によると、東京圏の「最混雑時間帯」の混雑度は以下のとおりです。

2019年度(10月頃) 163%

2020年度(同)    107%

2021年度(同)    108%

 

1年遅れで発表されるため、2022年度はデータがありません(どこかに発表されているかもしれない)。そこで、「3割くらいは減っている」という、たまたま居合わせた「感じ」を仮に出してみると、

163×0.7=114%

無謀ともいえる計算ですが、「やや元に戻ったけれども163%にはまだ遠い」感じにはなっているので、とりあえずよしとします。1例をあげ少し考えてみます。

横須賀線や京浜急行線を横須賀市の通勤通学者が使っていて、仮にいまだ混雑率が「3割減」とします。他の市に通勤通学する8万人が仮に「3割減」とすると、24000人は通勤通学していないかもしれない。テレワークなどで自宅にとどまっている(あるいは週5回だったものが3割減って週3.5日だけ通勤通学しているかもしれない(←私の場合はこれにあてはまる)。3割だと少し多すぎる(たとえば時差出勤などで「ラッシュ」の山がなだらかになっただけかもしれない)とすると2割(16000人)でもよい。そうすると、日中12時間は市外に出ていたとして、12時間×16000人分の時間の消費および市内で消費するさまざまな機会、および消費するばかりでなく生産物、およびそれらばかりでなく「家族と過ごす時間」や「地域に出ておしゃべりしたり清掃活動する時間」などが市内にとどまっている可能性がある。これだけの量がとどまるとなると、新たな土地利用(コワーキングスペースや弁当・食材屋など)も生まれるだろうしまだ生まれていなくてもポテンシャルがある。

昨日のデータでは社会減が2年間で数百人減少しただけなので、日中の12時間を24時間換算して8000人分の活動が市内にとどまっている(計算になる)というのはその10倍の20年分くらいのインパクトになる。

 

こうした話を意味ある政策や都市計画に結び付けるにはまだまだ埋めるべき部分が大きいのは確かです。けれども、(平均値でみて)163%と混雑していた車内が2021年秋でも108%というのは今回のようなことでもなければ政策的には達成(がほぼ)不可能なことだったと思われます。かなり落ち着いてきた今、意識してこの3年間の「変化」を検証・評価して「力に」変換できないものかと試行錯誤してみたいものです。

 

本記事を「ポスト・コロナ社会の新ビジョン」に追加しました。

https://tkmzoo.hatenadiary.org/entry/2020/05/05/121753