新型コロナ下の2021年の人口移動(主に東京23区、横須賀市、京都市)について

2021年の人口の社会減が「日本一」のマイナス4819人だったと、「人口減に危機感」などの見出しで地元京都では報道がなされています(8月に数字が発表されて話題に)。2番目が東京都江戸川区だったと。

新型コロナという特殊要因が加わることで、こうした短期的な変動をどう読み取ればよいか難しいところもありますが、東京圏(東京都+埼玉千葉神奈川3県)では「圏域としての人口を保ちつつ、徐々に東京郊外へと向かう「新近郊化」が継続している。」という8月30日の結論の続きを少々書いてみます。

 

第一。「2番目が東京都江戸川区」だった社会減という意味では2021年の東京23区の社会減35000人という数字が目立ちます。2020年がプラス8000人、2019年がプラス89000人だったのと比べると、1年を通して新型コロナの影響がはじめて出た2021年の減少幅は注目されます。

第二。けれども東京圏でみると人口はトントン(おおざっぱにみて、10万弱の自然減を10万弱の社会増が補っている)。結果、大局的にみると「徐々に東京郊外へと向かう「新近郊化」が継続している」。

第三。神奈川県(政令指定都市を除く)を例に2021年の動態をみると、もともと社会増だったものが2021年でさらにその増加幅を増している。社会減で悩んでいる横須賀市も例外でなく、2019年の社会減1484人が、2020年に1215人の減となり、2021年には867人の減にとどまっている。新型コロナ下に社会減は「半減した」といってもよいほど減ってきている。藤沢市や茅ヶ崎市、小田原市はものすごく増加しているので目立たないが、社会減が減ってきたこと(その要因/特に新型コロナとの関係)はきちんと分析・評価すべきだと思う。ただし自然減がどんどん増えているので、見た目の横須賀市の「人口減少」量は変化していない。

第四。2021年の社会減少量が多かった全国自治体を見ると、少し気がかりな結果になっている。京都市、江戸川区を含む東京23区を除き1年間で2000人以上社会減だったのは、広島市、豊田市、長崎市、北九州市、呉市で、2000人近く減ったのが佐世保市、福山市、岡山市あたりでした。直感的には(主に西日本の)第二次産業中心の工業都市が多く、横須賀市もどちらかいうとそうした性格をもつところが「東京近郊」であることにより社会減が少なくなったのではないかと仮に考えています。

 

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