「Tokyo Sky Corridor」の実現に一歩踏み出しました (都市は進化する115)

ニューヨークの「ハイライン」を意識した「Tokyo Sky Corridor」の実現に向けて、おととい開催された国家戦略特区合同区域会議において、この案件が審議された模様です。(まだ議事録は見ていないためこの表現)

 

銀座の周囲を高架でぐるりと走り抜ける(高架下が店舗等になっている)通称「KK線」が不要となり、それを転用して遊歩道にしようと、『東京高速道路(KK線) 再生の事業化に向けた方針(中間まとめ)~Tokyo Sky Corridorの実現に向けて』が東京都により発表されたのが2022年3月のことです(⇒関連資料1)。

今回の区域会議の資料をみると、東京都決定の2つの案件が特にこのことに関わっています。関連資料2(⇒下記)がその合同区域会議の資料の表紙ページですが、「資料1-1」となっている東京圏の区域計画案の中の、別紙124と125が直接このKK線にかかわる主要資料ととらえます。

別紙125から先にみると、こちらが「Tokyo Sky Corridorをここに定めます」という地区計画になっています。そのうちA地区はKK線そのものの範囲を、B地区は今回定める都市再生特別地区の範囲を示し、それぞれの計画内容がわかります。

別紙124を見ると、今の「B地区」の都市再生特別地区の内容で、特に、9頁の図に示されている「東京高速道路(KK線)上部空間(Tokyo Sky Corridor)整備の実施範囲」という300mほどの線状の区間が注目されます。「Tokyo Sky Corridor」となるモノの構造自体は不要となってストックとして残るなかで、「まずはここを事業化して整備します」との内容です。そんなこと言われてもイメージが湧きにくいと思われるので、先の「資料1-1」の下方にある、東京都提出の「資料2」を見てみます。その1頁目に「京橋三丁目東地区」のポンチ絵が描かれています。やや立体感に欠けるのでこれもわかりにくいかもしれませんが、現在、すぐ近くに立体緑地が特徴的な「東京スクエアガーデン」があるので、さらにそれを開放的にして(ポンチ絵では4階までは壁が無い)そこに「Tokyo Sky Corridor」が立体的に接続するイメージでよいと思います。

なお、もう一度「資料1-1」のさらに下方にある「参考資料2 東京都都市再生プロジェクト」をめくると、東京都関連の「都市再生プロジェクト」のリストがついており、事業主体や事業内容が簡潔にまとめられています。1つ追加されて49カ所になりました。

 

2030年代から40年代にかけて東京都心の風景を変えていく「Tokyo Sky Corridor」。特に、自ら高架を歩くことで見えてくる新しい東京の風景がどのようなものになるか楽しみです。さらに付加すると、現在の計画区間の先につながる地域へのアクセス向上にも期待したいところです。たとえば、「Tokyo Sky Corridor」の南側の最終地点は昭和通りの少し手前で終わっていますが、もう少し先に行くと浜離宮です。このことは別紙125の「地区計画の目標」の冒頭にも「本地区は、皇居、日比谷公園、浜離宮恩賜庭園等の大規模なみどりに近接し、都心において約2kmにわたり連続する東京高速道路(以下「KK線」という)は、自動車専用の道路として公共的役割を担っているが、その高架道路の形態は、都心の活発な都市活動を俯瞰できるなど、希少性のある空間を有している」とされ、「近接」していることを強調しています。最近動いている築地市場跡の再生や「ウォータータウン」などの水辺の再生とも浜離宮はつながっており、オフィスや繁華街ばかりの東京都心に水や緑のネットワークが絡み合う未来を予感します。

 

 

[関連資料]

1.『東京高速道路(KK線) 再生の事業化に向けた方針(中間まとめ)~Tokyo Sky Corridorの実現に向けて』

https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bunyabetsu/kotsu_butsuryu/kk_arikata.html

2.合同区域会議資料(2022.12.14)表紙

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/221214goudoukuikikaigi.html

 

🔖検索    「首都高」「国家戦略特区」「銀座」「浜離宮」