ロンドンLiverpool Street駅の大改造計画が熱い議論になっています

並行して取り上げているロンドンOxford Streetの再開発をめぐる国の介入(⇒関連記事)は、既に許可となっていた再開発計画に国が介入して「却下」となったばかりのホットな話題です。

それに対して本日とりあげるLiverpool Street駅の大改造計画は本年になり具体的な計画案が明らかになったもので、現在、地元区(シティのある都心区)の内部で精査中の案件です。まだしばらく時間がかかりそうで、2024年に入ったあたりで審議され地元区としての結論が出るのではないかと想定されています。

Liverpool Street駅は日本人がロンドンを訪れる際、必ずとまではいえないもののかなりの確率で通過・利用するターミナル駅です。これまでは本格的な大改造のないまま「大改装」を何度も行って混雑する旅客をなんとかさばいてきたのですが、ここにきて、抜本的な大改造計画が民間より提案されるに至りました。おおざっぱにいうと、電車が発着する駅そのものについては人流をスムーズにさばく一元的なコンコースを用意し大屋根の下に中規模な屋根をかける。その際、ちょこちょこと「大改装」して付け加えられている途中段階のものは取り除かれる。幹線道路に面する歴史的建造物は活かしつつ大胆に再開発して高層ビルにする。(下方に提案者の動画をリンクします)

国が介入したロンドンOxford Streetの再開発事例と異なるのは、ロンドンを代表するターミナル駅の大改造というたいへん公共性の高いプロジェクトであることです。

いつものように歴史的資源の保存優先を重視するさまざまな主体からは反対の声があがっており、(開発が認められた場合も)大臣の介入を望む声が既に出ていたりします。

Oxford Streetで国が介入している再開発案件ではこれまでにない(政治的・政策的)観点が強く出ているためそれ自体が複雑な要素を含む(と考えられる)ので、そう簡単には国が介入できるとは思われませんが、地元区が許可を出すとしても相当多くの条件がつくものと考えられ、そうした動向をみることで、現在のイギリスが何を重視しているのか、そもそも現在のロンドンがどうなっているのか、これからどうなりそうかが少し深く理解できるのではないかと思います。

 

 

[関連記事]
・ロンドンOxford Streetに建つ歴史的建造物の再開発計画が大臣により却下されました
 (その1) (その2)

[資料] 提案者(Seller)による事業紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=dKEkPpnvH4k