ストーンヘンジをバイパスする道路計画を可とする大臣判断を不服として2度目の申立て

ロンドンOxford Streetに建つ歴史的建造物の再開発計画の却下をめぐる不服申立てについてフォローしている最中(⇒(その3)へリンク)ですが、イギリスらしいといえばさらにそうだともいえそうなストーンヘンジをめぐる2度目の申立てがなされるようです。その経緯と重要性を圧縮して説明してみます。

ストーンヘンジといえば世界的に注目される人類の遺産ですが、そのすぐ脇を通る幹線道路が渋滞し遺産を傷つけているのをなんとか解決しようと、やや離れた箇所にバイパスをつくりストーンヘンジ付近はトンネル構造にする計画(⇒資料1)が2020年11月12日に認可されました。それを不服とするグループが高等法院(High Court)に申立てたところ、2021年7月30日に大臣判断を無効とする命令が下されました。それを受けて大臣(=交通大臣)はこの開発申請を再度審査することになりました(⇒資料2)。ほぼ2年をかけて2023年7月14日に下した結論は、初回と同じく、このバイパス計画を承認するものでした。しかしそれで終わりとはならず、その後すぐに、この判断を不服として再度、高等法院への申立てがなされる動きが出ています。正確にいうと、気づいたのは9月に入ってからのことです。2年もかけて再審査して出した結論に対して、2度目の申立てというのはいかなる理由によるのか。もしかすると重要な課題が提起されているかもしれない。

 

ということで、複雑になるのを避けるため、「2度目の申立て」をスタート地点として、これからフォローしていきます。出ている情報からみると論点としては、大臣の判断が「非合理(irrational)[←考慮すべき項目が欠けている(あるいは軽すぎる)など]」「法律に反している(unlawful)[←とるべき手続きが省略されているなど]」かどうか、というあたりかと思われます。

そもそも「2度目」の申立てが受け取られるのか。受け取られない場合、その理由は何か。受け取られた場合、何が審理されるのか。(なお、費用捻出のためのクラウドファンディングが既にスタートしている。)

本ブログでは、これまであまり勘案されなかった(と思われる)地球温暖化がらみの議論や、世界遺産保護におけるそうした議論の絡み合い方などを、特に注視してみたいと思います。同時に進行しているロンドンOxford Streetにおける再開発に関する論点とも絡み合うかもしれません。

 

 

[資料]
1.このバイパス計画の概要
https://nationalhighways.co.uk/our-roads/a303-stonehenge/

2.バイパス計画の再審査をめぐる資料
https://infrastructure.planninginspectorate.gov.uk/projects/south-west/a303-stonehenge/