ロンドンOxford Streetに建つ歴史的建造物の再開発計画が大臣により却下されました (その3 : M&Sが不服申立てを表明)

やはり、大臣による却下は誤った判断だとして、高等法院(High Court)への申立て可能な「判断後6週間」の(おそらく)最終日となる本日8月31日、M&Sのホームページに不服申立てを行う旨の短いながらもかなり強いメッセージが掲載されました。さきほどから各メディアがとりあげ徐々に報道がはじまっています。ただし、申立ての文書そのものは現時点ではわからないため、ここではその「短いながらもかなり強いメッセージ」を原文で引用したうえ、少し補足します。

前文に続く以下の2パラグラフがM&Sの主張です(HPより引用)。

We have done this because we believe the Secretary of State wrongly interpreted and applied planning policy, to justify his rejection of our scheme on grounds of heritage and environmental concerns.

It is hugely disappointing that after two years of support and approvals at every stage, we have been forced to take legal action to overcome a misguided agenda against our scheme, and we will be challenging this to the fullest extent possible.

3つの要素からなるととらえます。

第一に、大臣はplanning policyを誤って解釈・適用している。(第1パラ)

これは、高等法院は大臣の法の運用が適正なものだったかどうかを判断するところなので、そのことそのものをジャッジしてほしいとの申立て内容ととらえます。申立て文書の中では相当詳細かつ論理的にそれらが述べられているものと考えられます。

第二に、このような法的措置をとらざるを得なかった。(第2パラ)

大臣の最終判断だったため、「開発計画の却下」を受け入れるか、6週間以内に不服を申し立てるしか制度的には対処の余地がない。大臣判断は受け入れられないので、申し立てざるを得なかった。気持ちとしてはむしろ、その前段に書かれている、2年にわたりどの段階の判断も我々のスキームを支持してくれていたのに、そのあとになって覆されたことにとてもとても落胆している(hugely disappointing)。良い日本語が思いつかなかったので「とてもとても」と書きましたが、どれだけがっかりしたかよく伝わってきます。

第三。少しこわいのは、最後の「徹底的に闘うぞ」という感じの第2パラグラフの結びの部分です。「こわい」というよりも、もし、M&Sが大臣判断をのんでしまったら、その影響は甚大です。あとに続く開発計画等にも同様な判断がくだされることになる(可能性が高い)。M&Sはそこまで考えて不服申し立てしているとは思えませんが、相当な覚悟をもって発言しているものととらえます。

 

本日はここまで。このあとどのような議論が展開されるのでしょうか。

 

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(その1) 
(その2) 却下の理由づけ