「密集市街地における小規模空地の整備効果に関する研究」

「木造密集市街地」も徐々に防災性能や住環境水準が上がり、そろそろ「これからどのような市街地をめざすの?」という社会ニーズにこたえるべきフェーズに入ってきました。たとえば東京都では『都市づくりのグランドデザイン(2017)』において「木造住宅密集地域が東京ならではの街並みに再生されている」との将来像を示しています。
これまで「不燃領域率」を一定水準以上にする(防災性能を高めるための1つの目安)、というような問題解決型で取り組んできた成果も踏まえて、「東京ならではのまちなみ」とはどのようなものか、あるいは東京でなくても「木造密集市街地」はどのような将来をめざせばよいのかの手がかりが必要です。

「密集市街地における小規模空地の整備効果に関する研究 ―豊島区東池袋地区の辻広場を対象として」は、こうした課題意識のもと、かつて「辻広場」として整備された小さな空間がどのように評価できるかを考察したものです(⇒下記)。ここでは、たとえ小規模であってもそこに空地が存在することの意味を確認しようと、「存在効果」を1つの柱とし、これに「利用効果」を加えて小規模空地の評価を試みています。路地や小規模空地などが組み合わさり、防災性能が一定以上あるような、そしてできれば安定した居住の場であり、また、住宅だけでなく都心周辺ならではの新しい産業が常に創出されるような独特な市街地をめざして。

昨日の都市計画学会(盛岡)の発表会では、小規模空地の管理はどうするのか、もっと大きなオープンスペースも考えられるなかで小規模空地の意味はどのあたりにあるのかなどにつき議論されました。

 

[資料] J-Stageに掲載
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/58/3/58_1296/_article/-char/ja

 

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