「路地リノベーションの無限の可能性」

先日の「街みちネット」の会議で、「全国路地サミット2023 in京都」から戻ったK氏から、標記サブタイトルのついた記事が配布されました。森重幸子先生が『京都だより』(京都府建築士会発行)2022.4号に寄稿された記事(バックナンバーはダウンロード可)で、12件の路地再生事例が示されていました。本タイトルは「路地の取り扱いと近年の動き」ということで、京都独特の制度・施策の流れを理解しないといけないのですが、まずは「ともかく見てこよう」と、「名称」などから場所を特定し、現地で事例を見てきました。

 

というのも東京では密集市街地の裏宅地(無接道敷地)への対処が課題となっていて、先日のシンポジウムでも議論されました。京都の12事例には、東京での課題を解決するための、あるいは新しい「路地空間」のあり方やそこでのLife/Workの可能性を考えるためのヒントがぎっしり詰まっているのではないかと。「無限の可能性」とのサブタイトルにも大いに刺激されました。

 

12事例は街の中にあるので、事例そのものもさることながら、それぞれの街の特性や通りと宅地(一般に鰻の寝床のように奥が深い)の関係、通りからの引き込み方、避難路、お隣との関係、個々のユニットのつくり、中庭や空地のとり方、建築デザイン(京都的雰囲気)などを見ることができ、やはり実物を見てよかったと思います。特に、低層のままでもこれだけ工夫ができるということ、とはいえ、それを達成するためにはかなりのきめ細かな空間的工夫や制度的バックアップ、不動産事業としての裏付けなどが伴っているのだろうと直観しました。

京都の街をこのようにじっくり見て回ったのは初めてです。単なる「歴史市街地」ではなく、「短冊状宅地ユニット」「多用途混在・複合」「高密度空間デザイン」「中庭や袋地を介したクラスタリング」「自転車中心都市」といった京都のまちの姿を実感しました。

 

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