「尾根を下る」: 青山上水の話 (都市は進化する195)

Urban Walk「尾根を下る」&「川辺を遡る」はまだ構想中ですが、「こんなに巨大化した都市も結局、尾根と谷の組み合わせでできていて、都市に降った「水は海に向かって流れる」」(⇒2023.12.16記事)と書いてみて、ふと、この話は「上水道」と「下水道」にも関係していそうだと思い始めました。都市が大きくなるとき、ローマ時代から既に遠方の水源地より「水道」を引いてきて水を供給してきましたが、理想的には、水源地から尾根沿いにゆっくりゆっくり標高を下りつつ、都市部にさしかかるとき、分岐していく枝の尾根に沿って上水を分岐させる。なるべく落差は微小にとどめて都市中心部までもっていく。いずれ尾根道はおしまいとなり下町へと推移するのであとは勢いで(?)水を流していく。

尾根から下ってきた水を受け取り使用したあと、そのまま流すと谷沿いの小川から川へ、海へと自然流下し「水は海に向かって流れる」。(←下水道の話はまたの機会に)

調べてみると、そのとおり。以下は『江戸と江戸城』(SD選書4)からの引用です。

 

江戸の人口増加に対応するため玉川上水を新設したあと、「明暦大火後は防火対策からの必要もあってさらにその給水範囲をひろげていく」(p220)。まず1660年、「四谷大木戸水門脇より木樋にて玉川上水を引き、南方の大番町・青山大通・麻布・芝新堀辺に配水するため青山上水を開さくする」(同)。

 

驚いたことに、12月13日の記事で図面にサッと引いた「尾根を下る」のルートは、ほぼ、この「青山上水」に沿っていました。