「国立公園都市」って、何? (都市は進化する203)

最近気になっている新しい都市計画概念の1つに「国立公園都市(National Park City)」というものがあります(⇒関連記事)。ロンドンで2019年に宣言された国際運動です。

「国立公園」都市だとすると、自然豊かな環境を厳しく保全する「国立公園」に何故(どうやって)都市がくっつくことができるのかとの疑問が湧き、国立「公園都市」だとすると「国立」感が強すぎてそんなの特殊な都市でしょ、という感覚になるので、まずは販売されている地図を購入しようとA社で注文すると、先日届きました。その地図を一言でいうと、今まで見たことのない凡例で構成される、とてもワクワクする内容でした(⇒資料)。

このワクワク感を大切にしながら、「国立公園」都市なのか国立「公園都市」なのかなどというモヤモヤ感を解消するため、「国立公園都市」自体を論じた論文を読むことに。ロンドン大学バートレットスクールのKonrad Miciukiewicz氏の「Can a Park Save the City? : Hopes and Pitfalls of the London National Park City」はタイトルにもあらわれているように国立公園都市の概念や実践的意味につき客観的に論じた優れた内容でした。都市と自然の関係について述べる前段に続き、「希望」「落とし穴」「これから」が簡潔に整理されています。

「希望」。5つの側面がある。そのまま書くと「Urban environmental sustainability」「Health and wellbeing」「Connected diversity」「Socio-economic inclusion」「Political agency」。どれも重要そうな側面で、「National Park City」との概念が与えられることでこれらへの模索が活性化される。
「落とし穴」。グリーンを売りにした不動産開発を助長しジェントリフィケーションが加速するおそれがある。気をつけましょう。
「これから」。4点につき言及。やや大風呂敷的ではありますが、「希望」の方をさらに発展的にとらえたときのビジョンのようなものが示されています。

この「国立公園都市」運動はロンドンが第1号となり、2025年までに25都市までひろげることを短期的目標としているようです。都市計画的観点からは、そうした「量」もさることながら、「国立公園都市」という新しい計画概念を探求することで、これまで考えてこなかった次元の、人間と自然・経済・社会・文化との多様な関係を理論的にも実践的にも生み出す契機とすることが重要そうだと思います。

これでモヤモヤ感はいくらか解消されたので、ワクワク感をこれからさらに追及していきたいと思います!


[URL]
「ロンドン国立公園都市(London National Park City)」

[資料]
・LONDON NATIONAL PARK CITY (GREENWICH MAP)

[関連記事]
「urban national parks or national park cities?」