Vision 2034 新幹線 (都市は進化する211)

「Vision 2034 Tokyo」はこれから10年後のTokyoの姿を模索しつつ、日々の都市計画に反映しようとするコンセプトですが、ここにきて国土計画上重要な動きがでてきたので少し綴ります。

焦点は新幹線。いずれも2034年あたりに次の進化の段階が来そうなため、「Vision 2034 新幹線」とのタイトルをつけました。

 

第一。札幌までの北海道新幹線の「2030年度開業」がさまざまな要因により塗り替えられそうです。まだ明確な発表はないこともあり、ここでは何年になるかではなく、開業したときのビジョンのほうに着目します。おととい発表された「JR北海道グループ中期経営計画2026」には2026年以降の構想が書かれていて(p43-46)、高速化により東京-札幌間を4時間30分で結び、さらに札幌-旭川間の特急の最短60分運行をめざす。札幌-千歳空港間も最速33分を同25分に短縮する。また函館市が函館北斗からの新幹線直接乗り入れを検討しており、札幌-函館間を83分との試算も示されている(2024.3.29報告書)。これらにより、北海道新幹線は東京への速達だけでなく、旭川-札幌-函館都市圏を一体化させつつ千歳空港へのアクセスを向上させる効果が考えられそうです。考えている主体もバラバラで、「さまざまな要因」がいくらでもあるので、「Vision 2034 新幹線」のような包括的ビジョンを共有することが大切だと思います。東京-名古屋-大阪を一体化するリニアが「メガ・リージョン」計画だとすると、「ミニ・メガ・リージョン」計画といえそうです。

第二。リニア中央新幹線開業の時期が塗り替えられ、「2034年(以降)」という数字も出されました。静岡県の状況変化も気になるところですが、南アルプストンネル工事が認可されたとしても、その準備も含め相当な時間がかかり、また、難工事も予想されます。「Vision 2034 Tokyo」の側では、リニア以外の工事はかなり進み、2027年度までに第一段階の成果があらわれそうです。2034年までにその他事業も完成する計画なので、リニアはその最後に開業する。その他の駅、あるいは駅を起点とする都市・地域計画には大きな影響が出そうです。とはいえ、「遅れ」は実態として常に見えており、「さまざまな要因」はどこにでもあるので、新たな状況変化を見据えつつ、各地域での計画・戦略を再点検することも必要になってくると思われます。

 

こうして第一、第二の計画が進み、札幌から鹿児島まで新幹線がつながり、リニアが開業する「Vision 2034」の姿から、新たな国土計画、地域計画、都市計画を考えるのが「Vision 2034 新幹線」。新幹線は1964年の開業から70年でどこまで進化するのでしょう。


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