ジェイコブズ対モーゼス ニューヨーク都市計画をめぐる闘い

アメリカ大都市の死と生』が出版されてから50年。「ジェイコブズの本にはこう書いてあるんだって」とか「ジェイコブズの教えに従えばこうなんじゃない」といった解説に、「へー、そうなんだ」というくらいにしか反応してこなかった(『初学者のための都市工学入門』にもほんの2行半しかとりあげていない)のを反省して、3冊の本をまとめて通読しました。読んだ順はこの本が1番目で、さきほどの本編が3番目。5月22日の日経新聞書評欄に五十嵐太郎氏が「面白くないわけがないと思って、読みはじめたが、本当に期待を裏切らない内容だった」と書いているように、テーマを1点に絞り読者に「一気に読ませる」ことを心得た秀作でした(訳者にも感謝)。2011年日本語版出版(原著2009年)。ジェイコブズの初めて見る写真(特にp267)や、バトルの具体的な運動戦術などが活き活きと描かれている場面、バトル後の「それぞれの道」を綴った章などが特に印象に残りました。