Cultural Planning

ロンドンオリンピックもいよいよ大詰め。直訳すると「文化都市計画」となる本書の刊行(Routledge社)は2001年と古く、現代の「CULTURAL PLANNING」について正面から体系的に論じた最初の図書といってよいのではないかと思います。副題に添えられた「an urban renaissance?」の「?」でわかるように、著者のGreame Evanceはこの頃から流行となったクリエイティブシティ(2000。C.ランドリー)やクリエイティブクラス(2002。R.フロリダ)らによる創造都市論とは一線を画しています。常に批判精神を忘れず、ものごとの良い面と同時に弊害や留意点に注意を払い、しかしそこに収集され分析された事実は膨大かつ体系的で、本書にもその特徴が発揮されています。2009年の論文「Creative Cities, Creative Spaces and Urban Policy」(『Urban Studies』,46(5/6)所収⇒第10話の特集号の2番目の論文)はまさにそのような新しい創造都市論でした。実は、前回少し出てきた『Olympic Cities』17章の「London 2012」の著者もエヴァンス氏。フォーマットが統一されがちなオリンピックを地域のために活かすには、オリンピック後に地域が主体となって最初の約束(目標)を取り戻す(実現する)努力が必要と論じています。