山鹿減築

再開発事業で建てられた山鹿市中心部のビルの一部を取り壊して、明治時代に建てられ親しまれていた木造の温泉施設を復元、との9月27日の読売新聞の記事に仰天し「すぐに見に行こう」と思ったのは2ヶ月前のこと。11月下旬にようやく現地を訪れることができました。その日は、たまたま「さくら湯」開湯の日。
詳しくは日経アーキテクュアの記事(2012.8-25号)や国土交通省資料などによるとして(ネットを検索すると多数の資料が出てくる)、最近全国で課題となっている「再開発の再開発」。
‘問題市街地’や‘低未利用市街地’を再開発して近代ビル群に置き換えたはずだった建物からテナント等が撤退して、なんとかしなければならない状況が日本各地で問題になっています。たいていの場合、なんとかもう一度新しいビルに再生する例が多い中で(詳しくは、再開発コーディネーター協会のpdf資料へ)、山鹿市のこの事例は、むしろその逆。地方都市の現状や中心市街地のあるべき姿を考え、「減築」と歴史的資源の「再建」を選択したものです。
なかなかこのような思い切った決断ができないなかで、山鹿の事例は、とてもイノベーティブです。もちろんその分、苦労話も多く、日経アーキテクチュア記事に詳しく紹介されています。
いくらか補足すると、この「さくら湯」を再建した敷地は、歴史的街並みの残る豊前街道と、交通量の多い幹線道路がクロスする角地。山鹿市にとっては、「ここ」しかない本当の中心敷地です。まだオープンしたてでしっくりしていない部分も、年を経るにつれこなれてくることを期待したいと思います。

[参考]再開発コーディネーター協会資料『再開発ビルの再整備事例集』