Green Cities of Europe

6月のヨーロッパ。天気はとてもさわやかで日も長く、来週からウインブルドンテニス大会もはじまります。この会場。おおまかにみると、ハンプトンコートやキューガーデン、リッチモンドパークなどがある緑の塊の東端に位置していて、芝のコートもその緑の一角。ちなみに先日終わったばかりの全仏オープンテニスの会場ローランガロスはブローニュの森の南端。森の大きさは半端でなく、ブローニュの森は846ha、リッチモンドパークだけで955haだそうです。
本書は、森に限らず広くグリーンが取り込まれたヨーロッパ都市を題材に、テーマをモビリティ、自然との共生、エネルギーと気候変動にまでひろげて、7つのグリーン都市〜パリ、フライブルグ、コペンハーゲンヘルシンキ、ベニス、ビトリア-ガステイス、ロンドン〜を考察したものです。総花的になりがちな大都市はともかくとして(パリ市内の養蜂の話はおもしろい)、中規模都市のフライブルグとビトリア-ガステイス(スペインバスク地方)は個性が強く出たイノベーティブな内容で、また、土地利用計画や都市計画との関係が書き込まれていて引き込まれました。第1章の総論部分も事例を交えてわかりやすく整理されていて、そこに出てくるオスロなどについてもさらに知りたくなりました。
Timothy Beatley編著、ISLAND PRESS、2012刊。副題はGlobal Lessons on Green Urbanism。
「住みたい都市」「持続可能な都市」に長年取り組んできたヨーロッパ都市からは、まだまだ学べることは多そうですが、一方、お隣中国では都市と農村が分離される現在の形とは異なる『新型都市化』が模索されていて、都市内部に多くの田畑が残る日本の首都圏などがモデルになるとする専門家もいるとか(WEDGE6月号,44-46)。第93話(Worlding Cities)や81話(Suburbanization)とも関連する重要なテーマだと思います。