(ミニ特集)近隣計画の運用(その4) ロンドンにおけるはじめての近隣計画

(その1)から(その3)までの事例はいずれも地方都市や田園地帯の事例でした。そこで、大都市部、特にロンドンでのはじめての事例として、Norland近隣計画をとりあげてみます。Norlandは都心部ケンジントン&チェルシー区にあり、地下鉄ホランドパークの北西側、あるいは日本でも有名なノッティングヒルの西隣に位置します。19世紀の半ばに一体的に開発された近隣です。1969年に保全地区に指定されたのですが、近年、大きなハウスの細分化や、逆に、オープンな間取りによる内部のレイアウト変更などが目立つようになり、さらに2008年の法改正によって保全地区内で認められる開発の幅がひろがったため、これまで維持してきた歴史的景観が脅威にさらされています。そこで詳細な調査をもとに「Neighbourhood Plan Policies」を定め、ガイダンスを策定してその運用をはかるとともに、改善のためのアクションを行うべく、近隣計画を使ってまちづくりを進めるものです。改善のためには資金が必要になるため、Community Infrastructure Levyを交通静穏化事業や街燈・敷石・植樹等に役立てたいとの方針も示されています。
Norlandには保全地区が指定された1969年に「Norland Conservation Society」が設立され、既に多くの実績を有しています。
http://www.norlandconservationsociety.co.uk/who-we-are/norlands-history/
近隣計画が2011年に法制化されたため、これを用いてさらに地域の景観を維持・保全するべく自ら「近隣フォーラム」となり「近隣計画」を定めてまちづくりを推進しはじめた地域です。