『東京150プロジェクト』(新建築2015年6月別冊)

「東京」で現在進行しつつある諸プロジェクトを「新宿」「渋谷」「品川」のようなエリアごとにリストアップするとともに(2章)、“東京のつくりかた”と題して、日本流都市計画(理)論の真髄にあたる部分を抽出・展開・解説した(3章)書。
150のプロジェクトを正面からみようとすると事業の連続で息苦しくなり、かえって東京で何が起こっているかわからなくなってしまいますが、一歩引いて、「東京というのはどうやってこれまで進化してきたのだろうか?」「これからどうなっていきそうなのか?」と素朴に感じてみようとすると、以下の言葉が浮かんできます。
3章(p144)。「このように、東京の街づくりはすべて都市計画によって計画的に実現されたわけではない。ただ、東京の多様性は計画なきまま混沌から自然に生まれたのか、と言えば必ずしもそうではない」。ではどうやって東京がつくられてきたかというと、(以下、引用)
「将来の東京の都市構造とそこから生まれる発展可能性」について考える機会をつくり(ビジョンメイキング)、行政はインフラを戦略的に整え(インフラマネジメント:ハード)、地域の成長を促す仕組みを構築する(インフラマネジメント:ソフト)、地域のコミュニティは内在する「種」から「芽」を育て、街を「形」にする(都市開発)。

「東京」を「横浜」や「静岡」「大阪」などに置き換えてみても、かなりの程度このことは日本の都市づくりにあてはまるのではないかと思います。

たまたま昨日、港区都市計画審議会が開催され、虎ノ門地区の再開発2件が審議されました。東京都での審議案件と合わせて6月中の都市計画決定に向け手続きが急ピッチで進んでいます(補注1)。2020年のオリンピックの要となる主要部分の一連の都市計画・都市開発の一部で、『東京150プロジェクト』のp68〜75にはまだ審議されていない事業も含め、このエリアの将来像が紹介されています。

(補注1)国家戦略特区の都市計画。以下の記事で。
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20150122/1421921160