ドバイ開墾(2) : 砂漠の中の21世紀実験都市

世界一高いブルジュ・ハリファの外壁にしがみついて格闘するトムクルーズの目に砂嵐が確認され、それはやがてそこにも到達。地上へと場所を移した敵の追跡を困難なものに、、、。これは、映画「ミッション・インポシブル」(4作目。2011)のワンシーンです。
そう。ドバイには、砂漠の中の21世紀実験都市というキーワードがあてはまります。
なかでも、理屈抜きにその姿をはっきりと確認できるのは、この世界一高いブルジュ・ハリファの展望階に立ったその一瞬です。それまで地上から見て「なにこれ、ニューヨークの◯◯ビルのコピーじゃん」「このキンピカのファサード、成金の悪趣味〜」などと、ドバイの至らぬ面ばかりが目についていたのが一瞬のうちに吹き飛び、ともかく砂漠の中に、壮大なビジョンをもって、無謀にもこのような都市をつくっていることに対して、素直に、深く感動したのでした。
しばらくして、徐々に、今度は、「どうやって、こんな砂漠の中に、短期間に大都市をつくることが可能なのか?」という疑問が湧いてきます。そもそも水は大丈夫なのか?(年間雨量87ミリ)、こんな暑いとお客が来ないのではないか?

テクニカルなことは文献もたくさん出ているので、リアルな面だけ書きます。
冬は避寒地として人気のドバイのようですが、訪れた夏はというと、日中は45度から47度になりました。世界で最も暑くなる地域です。これに熱風が加わると、ドライヤーを自分の方に向けている感じ。日陰のドアノブも熱くなっています。なるべく体を布で覆い、陰から陰へと(できればクーラーの効いた室内へと)サッと移動しないとたまりません。夕方になると涼しくなるとも限らず、日没頃に熱風という日も。やはり、ピーク時間は室内暮らしにならざるを得ず、屋内型モールが発達。
けれども時間帯やタイミングを考えれば、空間のあちこちに「過ごせる」場所もあらわれ、街の楽しさもわかってきます。
「石油が出なくなる前に自立できる都市をつくろう」というインポシブルなミッションに立ち向かうドバイが今後どうなっていくのか、興味が尽きず、他人事のようには思えません。
たとえば日本の原油の4分の1はUAEから購入しています(筆頭はサウジが3分の1)。砂漠の中の都市づくりには既に日本が大いにかかわっているし、逆に、日本を維持していくためにUAEは欠かせない存在になっていることを改めて感じます。