ドバイ開墾(3) : 自由と寛容

リチャードフロリダが近年の経済発展のための主要要素「3T」の1つにあげている寛容(tolerance)。これがないと国際都市失格です。
ドバイは自由寛容都市でした。
厳しくいえば、出稼ぎ労働者の環境の過酷さや、王族支配の民主的でない面についてたくさん書かれているのでそれら文献で。
ここでは、ドバイの世界都市たる秘訣を「自由と寛容」をキーワードに理解します。
そもそもこの地は世界の要にあり、天然の入江が寄港地として適し、インドから東アフリカに至る広域の拠点としての歴史をもちます。
イスラムの国でありながらあらゆる国の人々を広く受け入れています。というより、広く受け入れることをドバイの国是とし、フリートレードを率先して進め、広い意味での投資を促す環境(制度やインフラ)をつくり、人材(talent=フロリダの2つめのT)や技術(technology=3つめのT)を受け入れるだけでなく多くの実験的プロジェクトを通してイノベーションを起こしてきたのだと思います。

フリーゾーン(経済特区)について補足すると、現在、UAEには30以上のフリーゾーンがあり、ドバイにその3分の2以上が集中しています。これらのうち最大のものがジュベルアリ・フレリートレードゾーンで、『ドバイビジネス解体新書』によれぱ、132か国から6900社を超える企業が進出し135000人が勤務(日本企業は約150社で2000人を雇用)。100%外国資本で設立でき、法人税所得税が50年間免税(更新可能)、関税なしなど、自由を享受できます。これらは共通項ですが、『A History of Future Cities』によれば、たとえばドバイインターナショナルセンター・フリーゾーン(2002年設立)では、110エーカーのその区域はサンフランシスコの建築事務所により設計され、その区域の規則は別会社に雇われたオーストラリア人専門家により起草され、それは主に英国法をベースにしたものだとされます。フリーゾーンごとにそれぞれのルールがつくられています。こんなパッチワークでよいのかとゾッとしないわけではありませんが、まさに「自由」も実験中。どこかで調整が必要な時代がくるのかもしれません。