WORLD HAPPINESS REPORT 2015

昨日(2015.12.7)の日経新聞オピニオン欄にジェフェリー・サックス氏(米・コロンビア大学地球研究所所長)の論説が掲載されました。同じ頁の左隣に掲載された「ニューモダン」論と合わせて、たいへん興味深い内容なのですが、ふと、ジェフェリー・サックス氏が最近手がけている「WORLD HAPPINESS REPORT」のことが気になり検索してみると、本年4月にこのレポートの第3巻が出ていることがわかりました。
http://worldhappiness.report/
第1巻が2012年、第2巻が2013年です。

第1巻以来、どうやって「happiness」をとらえたらよいか、政策にこの指標はどのように使えるかなどを試行錯誤しながら、基本的に国別の「happiness」を測定し続けているのですが、第3巻には少なくとも2つの進化(というか興味深い情報の追加)がみられます。
1つは、「happiness」を政策指標として含むようになった国や地方自治体等の事例が豊富に紹介されており、それ自体が有用な参考資料になります。
もう1つは「2005-7年」と「2012-14年」の間の、平均すれば約7年間の「happiness」の国別変化が指数化されて出ています。この間リーマンショックがあったこと、第2巻では「2005-7年」と「2010-12年」の比較であり国別の資料にはなっていなかったことから、リーマンショックをはさんで十分時間の経過した「後」と「前」との差が読み取れる興味深いデータです。125か国が比較されています。たとえば大幅に「happiness」度が上がった上位5か国は、ニカラグアジンバブエエクアドルモルドバシエラレオネでした。一方、極端に下がったワースト2か国は、ギリシャ、エジプトでした(かなり差があるがイタリアが続く)。なんとなく「わかる」感じもしますが、どちらかというと「ヘぇー、そうなのか」という新鮮な感じがします。日本はというと、「下がった」グループのかなり下のほうで107番でした。GNHの国ブータンはというと、2時点のデータがなかったせいか、対象外となっています。
他にもさまざまな切り口で「happiness」を分析した、最新の研究成果の1つだと思います。