DETROIT FUTURE CITY (2013)

本年の『都市計画論文集』に、デトロイトの新しい取り組みに関する2つの論文が掲載されました。
『DETROIT FUTURE CITY』は両者に共通する研究の出発点で、縮減の避けられないという意味で世界最先端の都市における、新しいタイプの都市計画マスタープランです。
http://detroitfuturecity.com/
700頁を超える分量もさることながら、そこで計画されている内容は、ある種の開き直りであり、都市の現実に立ち向かうリアリズムであり、「地域が連携し「住みたい都市」を」めざす地域の連帯による真剣な試みを表現したものになっています。

2つの論文は、ランドバンクを活用して空き家を除却するなどにより当該エリアとしての住宅市場が働きやすくなる方向での施策と、もうダメなエリアを積極的に空地化するなどにより新たな土地利用をつくり出す施策をそれぞれ扱ったもので、両方合わせると、『DETROIT FUTURE CITY』の実現過程がかなり見えてくる興味深い内容です。「施策をそれぞれ扱ったもので」などと書きましたが、研究の結果そのようなことがわかったという、とても貴重な成果だと思います。さらにいえば、あの“犯罪都市”の研究を行ったこと自体に敬意を表したいと思います。少し前のコロンビアのメデジンの研究もそうでしたが、都市犯罪やテロリズムがますます増えそうなこの時代。都市や都市計画に携わる私たちに、何か、新しい次元の発想が求められているように思います。

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・『THE CITY AFTER ABANDONMENT』(都市イノベーション2020 第24話)
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20140416/1397612370