『「鎖国」と資本主義』

川勝平太著、藤原書店2012刊。
「都市を通してみた新しい世界史・文明史・地球史のような」「ヒストリー(ストーリー)をつくること」、の最近の成果例を10月22日の記事で4つあげましたが、今回とりあげる『「鎖国」と資本主義』は、大風呂敷で実証困難と思われる内容ながら、仮説としてはなかなかおもしろい内容です。

それは、『アジアからみる日本都市史』(成果例の1つ目)で「13世紀から18世紀にかけての東アジアは、政権の相対的な安定と経済の進展にともない、各国が独自の伝統に根ざす国家をつくり」とされていた仮説とかかわっており、「領土に対する野心をもたず自由貿易を良しとした平和なアジアの中に、砦の構築を手がかりに領土を拡張しようとする西欧的野心がライバル間で競いつつ入り込んでくるのに対処するため、各国で鎖国政策がとらていくなかで、日本では長崎へと貿易の窓口が移って」という内容(成果例の3つ目『堺−海の都市文明』)のグローバルな意味を議論するものであり、そうした中で力をつけた日本独特の城下町等の考察が成果例の2つ目(『近世都市の成立』)となっています。

それにしてもこの図書の大胆な仮説。自分なりに吟味する時間がほしいので、その内容を紹介するのは控えます。興味のある方は直接本書を手に取ってみてください。