家康、江戸を建てる

真田丸』(NHK大河ドラマ)では先週、家康が上洛。秀吉の天下統一はさらに一歩前進し、これから小田原攻め(1590)へと向かいます。その小田原での会話からこの時代小説は始まります。
「されば家康殿、このたびの戦がすみしだい、貴殿には北条家の旧領である関東八か国をそっくりさしあげよう。相模、武蔵、上野、下野、上総、下総、安房常陸、じつに合わせて二百四十万石、天下一の広大な土地じゃ。お受けなされい。」

ところが江戸に入ってみると江戸城の「東と南は、海」、「西側は、茫々たる萱原」、「北は多少ひらけている」とはいえ「駿府や小田原の城下町とくらべると、五百年、六百年も発展をわすれたような古代的な集落でしかなかった」。

このような江戸を家康はいかに現在につながる大都市東京につなげたか。
治水(利根川付け替え)、貨幣制度導入、上水網の整備、石切と石垣づくり、天守閣の5つの面から、特にそれぞれの発想とプロセス、技術と人材を読み解いています。
歴史小説ですから、歴史の大筋はきちんと踏襲しつつも、細部は「お話」仕立て。最後に江戸城ができあがったとき、「江戸」という都市がどのように見えたかを描写した場面は、かなり都市イノベーション的です。

どの都市にもその礎をしっかり都市計画した歴史があり、それを私たちは引き継いでいる、、、特にある意味世界一人口の集積した東京の「へそ」を「ここ」に定めせっせと都市計画した(学術書では読み取れない)リアルで壮大な取り組みを体験できたような気がします。
門井慶喜著、祥伝社2016.2.20刊。

本書に刺激されていざ江戸城へ。内堀をぐるりと一周してしまいました。