博多港の爆買いクルーズ船

せっかく福岡に来たのでと、博多港に行ってみると、「洋上の巨大マンション」と命名したくなるような大型クルーズ船が。もう1つそれに比べれば小ぶりながら大型といってよいクルーズ船も埠頭に横付けしています。
これは何かありそうと聞いてみると、これらは中国からの爆買船(この用語は私がとりあえずここでつけたもの)で、毎日のようにやってくるとのこと。「毎日のように」ということにさらに驚き、以下にその動向をまとめてみます。

第一。この日博多港に寄港していたのは、「巨大マンション」のほうが定員4919名の Ovation of the Seas(天津から来て天津に戻る)。少し小さい方が定員2394名の Costa Victoria(釜山から来て舞鶴に行く)。両方で約7300名です。いずれも朝博多港に着き、夕方出航。皆が爆買い客かどうかわかりませんが、バス1台に50人とするとしても約150台分と相当な人数。
第二。こうしたクルーズ船の博多港への入港は、予定も含めると2016年は404回。「毎日のように」どころか、1日2隻の日もかなりあります。[資料1参照]
第三。すごいのはその伸び方。2008年からの博多港の8年分を示すと、35、42、84、55、112、38、115、261。261回が2015年、さきの404回が2016年です。2015年の261の内訳は、外国籍247(うち中国発着238)、日本籍14。
第四。横浜港は2010〜2014年の5年間、120〜150回程度で国内一だったのですが、この勢いで2015年に博多港に抜かれ(長崎港にも抜かれた)、はるかに差がつきました。
第五。システムとしては、大型クルーズ船からの下船はビザ無しでよいとしたこと、博多港がかなり前からクルーズ船の誘致に努め、2015年には「中央ふ頭クルーズセンター」を供用開始したことなどがあげられます。
第六。前から問題になっていましたが、横浜港のベイブリッジの下は55メートルしかなく、大型クルーズ船が通れません。さきの「巨大マンション船」は60メートル以上。やむを得ず、せっかく作った大桟橋ではなく、ブリッジの外側の大黒埠頭に着けざるを得ません。
第七。国では、2015年に112万人だった寄港客を2020年に500万人にする計画。博多港のみならず、日本の港町はどうなっていくのでしょうか。

[資料1]博多港クルーズ客船入港予定(3月1日時点のもの。「第一」であげた船名はこれによる)
http://port-of-hakata.city.fukuoka.lg.jp/guide/cruise/pdf/cruise2016.pdf#search='%E5%8D%9A%E5%A4%9A%E6%B8%AF+%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%BA%E8%88%B9+2016'

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http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20150224/1424749035