都市イノベーション開墾2
794年に都となった京都はその後明治になるまでの1074年もの間、都でありつづけたのに、何故それ以前の都は短期間に幾度も遷都されたのか? 本書(仁藤敦史著、吉川弘文館歴史文化ライブラリー333、2011.12刊)は、さまざまな遷都を経てやがて平安京に至り「動…
いよいよ「都市イノベーション開墾」も最後の2話。日本ではじめての都市計画生成過程を都市イノベーション的視点で開墾します。まだ「日本」というまとまりがあいまいだった頃、大陸や半島との外交や内外の交通の拠点として選定された難波宮・難波津。 前期…
まだ近代的な意味での「国」という単位が無かった頃、自立した「都市」が主役となって、交易を通してwin-winの関係を構築。その交易の真髄とは、A地域に無いけれどもB地域では自分で消費する以上に産出するものをA地域に持っていき喜んでもらうこと(で商売に…
地域実践教育研究センターをはじめとする横浜国立大学の“地域”関連主体がゆるやかに連携して、この春、“地域”関連行事を連続開催します。 http://ynulocal2017.wordpress.comその皮切りが2月21日午後開催の「みなとまちシンポジウム」。もうすぐです。 上記U…
地球上の「都市と都市計画」をめぐる人類の大き課題という意味で、“世界最大の難民キャンプ”といわれるこのキャンプのことを取り上げることにしました。ケニア東部のソマリア国境近くにあり、30万人を超えるソマリア難民を受け入れています(最大時には50万人…
2017年1月10日に『PeRRY』というマガジンを創刊したと、横濱まちづくり倶楽部から記念すべき第1号が届きました。 なかなかいいです。 そもそもあの黒船のペリーが「Perry」と綴ること、あまり認識していませんでした。「rry」だと雑誌のタイトルにみえないの…
大寒から立春までのこの時期、外に出かけることも少なくなりがち。 と思っていたら、横浜山手で地道な活動をつづける博士課程のSさんから「横浜山手芸術祭」のパンフレットを手渡されました(⇒資料1)。「今年もまたこの季節ですね!」毎年渡されるたびに、少し…
先週開催された「まちづくりセミナー」(都市計画協会主催)で、「都市計画と都市イノベーション〜ヨコハマを通して考える」というタイトルで話をする機会をいただきました。 主な対象は自治体職員。「右肩下がり」「消滅可能性都市」などという元気の出ないご…
京都駅にほど近い七条通り。あまり高い建物が無い中に、ほっそりと立ち上がったその建物は、世界初の“タタミカプセルホテル”。もともと外国人観光客が多かった京都にさらに外国人客が急増。いかにも日本的な「カプセルホテル」という発明(?)に、別の意味で…
今から500年前の1517年、最初のスペイン人の探検隊がユカタン半島に到着。その2年後にコルテス率いる隊が上陸。人口30万人を擁し当時世界最大だった都市テノチティトラン(現在のメキシコシティ)に迫り、1521年にアステカ王国は滅ぼされたのでした。 というの…
安全上の問題から多くの途上国において閉鎖的な開発(ゲイティッド・コミュニティー=要塞都市化)がひろがっています。「共生都市」アジスアベバでは以下のような中産階級化のあらわれが観察できますが、現在のところ、開発形式はオープンで、それをガードマン…
2系統のLRTが十字を描くように開通しました(南北線が2015年9月、東西線が同年11月)。サブサハラで初めて。中国資本によるプロジェクトです。キャパシティが小さい(車両編成が短く運転間隔が長い)ためか、「いつも満員」と評価されています。最初は日本式にと…
「共生都市」とは、「である」という状態をあらわすのと同時に、「常に葛藤はあるがそれらを賢くマネジメントできる力が備わっている」ことだということが、まだ結果は見えていませんが、現在進行中のマスタープラン改訂プロセスから見えてきそうです。 アジ…
エチオピアの周辺は、現代世界の人間の困難がすべて吹き出しているような、出口のみえない、出口どころか入口がまだどこにあるのかさえわからない、悲しい状況でいっぱいです。エチオピアだっていまだに「最貧国」であることは残念ではありますが、今回の「…
明けましておめでとうございます。2017年です。 そろそろ21世紀後半に向けた新たなテーマの“開墾”にも取り組もうと、アフリカ連合の本部が置かれているアジスアベバから、5回の予定で、できる限りその未来を探ってみたいと思います。その都市像は(意外なこと…
Loretta Leesら編、Policy Press 2015刊。 このタイトルを見たとき、「えっ?」「グローバルな視点でジェントリフィケーションを考えようということは、A国の富裕層がB国に押しかけた結果、B国の低所得者層がはじき出されてC国に行かざるを得なくなる、、そう…
博士課程のYさんらと行っている“豊かな縮減都市”研究(⇒研究ノートへ)に関連した論考が、昨日アップされました(都市計画報告集No15)。 [No15目次へ] https://www.jstage.jst.go.jp/browse/reportscpij/15/3/_contents/-char/ja [直接pdfへ] http://www.cpij.o…
あさって12月10日が発行日となっている、ちくま新書1222。著者は山口栄一(京都大学大学院思修館教授)。 昨晩、駅の本屋で「イノベーション」という文字が目に入り、気がつくと読み終わっていました(注:一応立ち読みではなく購入しております)。 一冊の本だ…
「都市イノベーション開墾」第82話です。 建築・土木系の解説書では空間構成そのものに力点はあるがその政治経済的意味づけが弱い。政治・経済系の解説書では政治経済的解釈や数値には強いが思考が空間化されておらず物足りない。そんななかで本書は、江戸の…
CAROLYN T. ADAMS著、Cornell University Press刊、2014。 タイトルだけではよくわからないその内容は、副題の「Suburban Elites, Third-sector Organizations, and the Reshaping of Philadelphia」で少しヒントが得られます。けれどもそれでも十分とはいえ…
エムボマのゴールシーンを見るような、さわやかでファンタスティックな快作。 ダヨ・オロパデ著(松本裕訳)、英治出版、2016.8.31刊。著者はニューヨーク在住の、ナイジェリア系アメリカ人のジャーナリスト。 ある意味、前記事『Urban Planning in Sub-Sahara…
近代都市計画思潮の影響を、誰が主役となって、どのような都市化の段階で受けたかによって、今日の都市をめぐる状況が大きく左右される、、、前回とりあげたラテンアメリカでは、16世紀前半に植民地化された地域が18世紀初頭に独立、その後にヨーロッパの近…
2003年12月14日にスタートした「和田べっぴんマーケット」が第41回目となり、11月12日(土曜)に開催されます。本ブログでも、ブログ開設から4日目に「和田べっぴんマーケット 第25回を迎える」という記事を書きましたが(⇒関連記事)、その後も続き進化中。 今…
スペイン植民都市計画史も「是非読んでみたい」(⇒関連記事)と探したところ、「そのもの」は見つからなかったものの、本書は、19世紀初頭にスペイン・ポルトガルから独立した中南米各国が、それぞれの国の顔となる首都を、植民都市の状態からいかにつくりなお…
大坂を特集していると一瞬思った『秀吉の普請』(季刊大林No57)が京都の特集だったこともあり(⇒関連記事)、今度大阪にいったら是非そのあたりをと思っているとたまたま大阪に行く機会ができたので、その日の夕刻、インバウンドで一気に増えたといわれる外国人…
昨年、GNHをテーマとする博士課程のYさんとブータンに行き、「GNHと都市計画」を本ブログで報告しました[⇒関連記事]。 それから1年。研究成果が「ブータンの国民総幸福(GNH)政策の理念と計画化に関する研究」の形でまとまり11月の都市計画学会で発表します…
マット・リドレー著(大田直子ら訳)、早川書房2016.9.25刊。原題は「THE EVOLUTION OF EVERYTHING」、その副題は「How New Ideas Emerge」。 サイエンス・ライターの著者が、「世の中のすべてのことを、すべてボトムアップ的にできたのだと言い切ってみよう」…
『植えつけられた都市』の邦訳で2001年に京都大学学術出版会から出た「Of Planting and Planning」(1997)の第2版。Routledge,2013。副題は、「The making of British colonial cities」。著者のRobert Home教授をはじめとする、初版以降のこの分野の研究成果…
季刊大林No57に『秀吉の普請』が特集されました(2016.8.10発行)。正確に書くと、「されました」というより、ちょうど京都へ行く前々日、この号の企画編集に携わったO社のH氏からこの号を手渡され、大坂の都市計画ではなく京都の都市計画が特集されていること…
最後の検証テーマは「創造・創出化」です。このテーマの「検証」方法は意外に難しく、『2050日本復活』で書かれているたいていのことは既に言われているか、この著者が言いそうだと予想できること。また、移民としてやってきた外国人や誘致に成功した外資に…