ロンドンイノベーション(3) : 外資からみた都市イノベーション

EU離脱交渉開始を控えた3月27日、カタール政府はイギリスへの投資を、EU離脱があってもなくても、5年間で50億ポンド(140円換算で7000億円)行うと発表しました。
といってもピンとこないので例をあげると、あのロンドンで最も高い「シャード」はカタール政府資本が95%所有しています。以前の記事で書いた「ハロッズ」(⇒関連記事1)も、2010年にエジプトの富豪から15億ポンド(同2100億円)で購入。カタールとしてもずっとはオイルマネーに頼れないので、長期的にリターンを生み出し続けるであろうシャード1本、ハロッズ1軒なら安い買物。事実、カタールはこれまでイギリスの不動産や株式等に400億ポンド(同5兆6000億円)投資。少なくともこれまでは、成長都市ロンドンはおいしい投資先になっていました。
サッカープレミアリーグのチームそのものの買収のみならずユニフォームへの企業名広告費、それらを世界に発信する放映権、民営化が進んだ公共サービスの運営権なども含めると、ロンドンという都市は世界の人々(資本家のみならずそれを消費しようとする人々も)による共同作品といえなくもありません。
そのような目で見ると、海外からロンドンにやってくる新住民も、ロンドンというチャンスに自分自身を投資。それがプラスである限り、全世界から人々はやってきます。そのスピードが速すぎ、しかも制御不能になった(と強く感じた)ことが、EU離脱に傾いた大きなきっかけになってしまいました。

イギリスのEU離脱によって投資の主役がいくらか入れ替わるかもしれませんが、また、量的にもいくらか落ち込みがあるかもしれませんが、ロンドンイノベーションはこれからも続くだろうと期待します。

[関連記事]
1.『銀座・資本論
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20150702/1435807577
2.チェルシーがバターシー発電所をサッカースタジアムに?
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20120606/1338954485

【in evolution】世界の都市と都市計画
ロンドンイノベーション(1)(2)(3)をリストに入れました。
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20170309/1489041168