産業革命都市マンチェスター

マンチェスター」と聞いて、何を連想するでしょうか?
先日のテロ事件? マンチェスター・ユナイテッド? (歌)マンチェスター&リバプール?
よく考えてみると、これらは相互に強く関連しているようにみえるのですが、脇道にそれそうなのでそこにはいかず、昨日の『CITIES IN CIVILIZATION』Book Oneの中で、続くBook Twoでとりあげられる最初の都市がマンチェスターになることを紹介したことを受けて、「産業革命都市マンチェスター」について、「都市イノベーションworld」的視点で少し紹介します。(Book Twoについては読み終わったあとで)

一言でいうと、マンチェスター産業革命のおおもととなった、都市そのものが工場であり倉庫であり物流拠点であり(出入口の港はリバプール)労働者住宅街であるイノベーション都市です。普通、「都市でした。」と過去形にするのですが、ある意味、今でも都市のストックそのものが当時のまま残り、「都市です。」と言ってもよいと感じられるような、他にはない、ある意味世界にとってとても貴重な都市だと思います。
ウォーラーステインの『近代世界システム(2011年版)』を紹介した2017.5.13の記事で、「世界の各地が次々に「世界経済」に取り込まれ、その巨大な地球規模の「世界経済」の中で特定の役割を担う(担わせられる)ようになるプロセスが描かれていきます。」と書きましたが、その、取り込んだ側の都市の代表例・象徴例がマンチェスターという都市だととらえて、毎年、そのようなマンチェスターの姿を教養科目「都市と建築」の中で話しています。

例えば、1830年、世界初の鉄道「リバプールマンチェスター鉄道」が走ったのはここマンチェスターでした。と書くと予めちゃんとした機関車があったかのような書き方になりますが、実は、ちゃんとした蒸気機関車になるためにはその前史があり、失敗に終わった、あるいは事業化までには至らなかった数々の途中経過や、そもそも「機関車」のもととなった「機関」がどのように発明されてきたかの前史の前史があり、、、といったことが、ここマンチェスターに来ると手に取るように理解できます。理解できるのは鉄道だけではありません。駅舎も、工場も、倉庫も、運河も、労働者住宅街も、皆そうです。
そうした都市全体が徐々にコンバージョンされて、それぞれの要素がどのように現代に受け継がれているか。それを見るだけでも、「産業革命」という人類の歴史を、決して過去のものではなく、現在にも受け継がれる遺産として体験できるはずです。

【In evolution】世界の都市と都市計画
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http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20170309/1489041168