『Airport Urbanism』

大学院で開講している『都市マネジメント』では、これからの都市や都市生活を考えるうえで重要な「自動車」「鉄道(駅と街)」「空港」「ホテル」「コンビニ」「ネット商店街」などを、事業者の立場からお話しいただいています。どの分野も技術革新や経営戦略展開がめざましく、毎回、「これからの都市はどうなっていくのか?」と刺激を受けます。新たな都市イノベーションのきっかけになればと思うところです。
今年は「空港」関係が入れられなかったと残念に思っていたとき(空港から都市イノベーションを語るのは実際難しいと思う。にもかかわらず過去の講義では新鮮かつ先端的なお話しをしていただいている)、目にしたのが本書。
Max Hirsh著、University of Minesota Press刊、2016。副題は「Infrastructure and Mobility in Asia」。

空港ものは過去にさまざまな書が出ていますが、本書はアジアにおける空港と都市の関係を論じた最新の書。正確にいうと、中産階級が成長し国境越えの労働移動も頻繁になったアジア都市という先端的動向が空港に与える影響と、そうした文脈でのこれからの都市計画のあり方を論じています。取り上げられるのは香港国際空港と香港、香港国際空港珠江デルタ都市をはじめ、クアラルンプル、バンコクシンガポールと各々の空港。たとえばもうすぐ開業するチャンギ国際空港(シンガポール)のT4ターミナルがどのように新しいか、新空港を開業した際に閉鎖されたドムアン空港(バンコク)がなぜ再開することになったか、などを蟻の目視点で語ることで、「国際ビジネスマンが使う先端的国際空港」とは大きく異なる現代空港需要や、それを前提としたときの、あるいはこの傾向がさらに進化して20年経った後の、都市と空港の関係や、アジアや世界の都市生活を予兆します。

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◆海外
アジスアベバ開墾(5) : 中産階級化の兆候〜21世紀後半に向けて
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・ドバイ開墾(8) : ドバイ/アブダビ大都市圏
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20150909/1441754845
・ロンドンの新空港(滑走路)候補地をめぐる話題
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20140106/1388995830
ウランバートル
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◆国内
・検証・2050日本復活(1)高速化
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バスタ新宿
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20160601/1464747821
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羽田空港ー海老取川ー日本橋船着場
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